第6話 超能力とは

 止めなかったら延々と魔法のことについて話し続けそうなリリーを一度止めて、智貴たちは一度、今聞いたことの中で沸いた疑問について聞いてみることにした。


「魔法の組み合わせは分かったんですが、組み合わせるのって一人で全部やらなきゃいけないんですか? 何人かで組み合わせるほうが強くなりそうなんですけど」


「あら、良いところに気が付くじゃない。その質問に対しては、別に一人でやらなきゃいけないわけじゃないわ、ただ、複数人でやる場合には、一人でやる時もだけれど、魔法の属性のバランスがとても大事なのよ。そのバランスをとるためには複数人でやるより、一人でやったほうがバランスを取りやすいのよ。まあ、このバランスは感覚的なものだから、当然なんだけどね。ただ、これもまた問題があって、一人でやると、魔法の処理を全部一人でやることになるから、慣れてないと脳が焼け切って死ぬこともあるのよ。だから、魔法に慣れてくるまでは魔法を合成しようとするのはやめておいたほうがいいわ。それと、威力については、今言ったことに関わるのだけれど、当然複数人でやったほうが威力は上がるわ。それでも難しいから、戦闘において、複数人が魔法を合成するのに集中すると当然他の負担が大きくなるから、相手を拘束してから、とかにしないと、魔法を組み上げているうちにやられてしまうこともあるわね」


「なるほど、速くやるなら一人で、威力重視なら複数人でってことですか」


「まあ、そういう事よ。どっちにしろ、しばらくはあなたたちには魔法の合成は教えないけどね、基礎が出来上がるまでは危険すぎるし、今はそういうものもある、ってことを教えるだけね」



「それと今からは、魔法じゃなくて、超能力の訓練をするわよ。魔法については、まだ魔力生成器官が弱いから、大した訓練が出来ないのよ。だから、やり方は教えるけど、魔力を増やすのは個人でも訓練して頂戴」


「魔力無いと魔法の訓練は出来ないんですか? それに、超能力の訓練って言っても、私たちに超能力何て、出てきてないんですけど」


「魔力が無いと、効率が悪いのよ。何度もやって身に付けなきゃいけないのに、魔力が少ないとほんの数回しか練習できないでしょ。無理矢理魔力を引き出すことも出来るけど、危険だから、訓練ではやらないほうがいいわよ」


「それと、超能力についてはまだあなたたちが知らないからよ。知らないことを出来るわけないでしょう? まあ、たまに知らなくても使い方が分かるって天才肌もいるらしいけど、まだ誰も使えていない時点で、天才はいないみたいだから、知識を付けることからね」



「さて、それじゃあ記録に残ってる範囲だけれど、超能力について教えていくわよ」


 リリーはそう言うと、超能力について教えてくれた。


 超能力は魔法とは違って魔力は消費しないこと、代わりに気力とでも言うべきものが消費されること、同じ超能力を持つものが同時に現れることはないこと、超能力の種類はある程度決まっており、おそらく7種類しかないこと、などを教えてくれた。


「すみません、気力って何ですか?」


 説明を聞いていた中で、聞いたことも無い単語につい智貴は質問をすると、リリーは難しそうな顔をして、


「気力についてはよく分かってないのよ、おそらく精神力のようなものだと思われているけれど……超能力を使いすぎると気絶するから、何かしらは消費しているのだろうけど、身体にダメージは無いし、魔力も減っていなかったらしいから、とりあえず気力ってものがあるんじゃないかってことで、そういわれてるだけだから」


「なるほど。それなら、超能力の種類について教えてもらえませんか?」


「ええ、そうね、他に分かってることもあまりないし、種類について説明するわ」


 リリーの説明により分かった超能力は、千里眼、精神攻撃、念動力、模倣、吸収、地獄耳、物理特化の七つであった。


「それぞれ、完璧に分かってるわけではないけれど、軽く説明しておくわ。と言っても、おそらくこういうものだろう、ってもので、その説明も使っていくうちで使用感は違うかもしれないっていうことは頭に入れておいてね」


「まず、千里眼は、視界を遠くまで飛ばせる。距離については、訓練次第で伸びるらしいから、正確なことは分かっていないわ」


「次に精神攻撃は、魅了や催眠などの、人の精神、つまり内部に働きかける攻撃ってところね」


「念動力は、魔法でも似たようなことが出来るのだけれど、物を手を触れずに動かすことが出来るわ、けれど動かせるものにも制限があるみたいで、あまりにも大きすぎたり、重すぎるものは動かせない、らしいわ。魔法と違うのは魔力を使わないって、ことね」


「模倣は、相手の出来ることが自分も出来るようになるらしいわ。ただ、目の前にいる相手の出来ることに限られるうえに、相手と同じ程度にしか使えないようだわ。だから相手と同じことは出来るけれど、超えることは出来ないみたい」


「吸収については、触れた相手から能力を奪えるの、奪われた相手は、例えば剣の扱いに長けている人間から剣術の能力を奪えば、相手の剣の扱いを学べるし、奪われた相手は剣の扱いが下手になる、と言われているわ、原理は知らないけれどね」


「地獄耳は、遠くの音や小さい音が聞こえる、といったものね。正直あまり戦闘には直接は関わらないけれど、索敵とかに向いてるらしいわ」


「最後に物理特化について、これは魔法に対しての適性がなくなる代わりに、身体が強くなるらしいわ。魔法を使うことも、魔法に対しての抵抗もなくなるけれど、身体は頑丈になって、大砲を食らっても怪我をしない頑丈さと、一撃で山を砕く破壊力を得るらしいわ……長くはもたないようだけれどね」


「まあ、超能力についてはこんなところね、さっそく何が使えるのかを確認していくわよ」


リリーから超能力について説明を受け、智貴たちは訓練をすることにした。

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