第3話 訓練
それぞれに与えられた部屋に戻り、服を着替えてから、一度全員で集まろうということで、竜太先輩の部屋に集まり、今後のことを話そうとしていた。
しかし、ちょうど全員が集まったところで、部屋の扉がノックされ、声をかけられた。
「失礼します。勇者様方、訓練のお時間です。訓練場へといらしてください。」
その言葉に、美咲先輩が、
「ちょっと待ってください、今日訓練があるだなんて聞いてないんですが。それに、訓練場の場所も知りません。」
「出来ることは早めにやり始めるのがいい、という陛下の御心です。訓練場に関しては、今からお連れ致します。」
「……分かりました。」
ということで、とりあえずの納得をして、訓練場へと向かうことになった。
訓練場には、身長が二メートルはあろうかという偉丈夫がいた。
「おお、お前らが勇者か! 俺は帝国騎士団長の、ハロルド・ルロイだ! 俺は基本的にはお前らに武器の扱い等を教えてやる、ビシバシ行くから覚悟しとけよ!」
人の好さそうな笑顔でそう言いながら、ハロルドの後ろに隠れていたらしい小さな女の子を前に出した。
「んで、こっちのチビッ子が、魔法師団団長のリリー・クラウス、こう見えて、帝国一強いから、怒らすんじゃねえぞ」
と、紹介を受けた。
とりあえず、自分たちも自己紹介しておこうと、智貴たちも自己紹介をし、何をするのかを聞くことにした。
「まず、訓練とは言いますが、何をするのですか?」
「ああ、まずは身体作りからだな、それが終わったら、それぞれに合う武器を見つけて、その武器の訓練、後は、魔法と、超能力だが、そっちに関しては、リリーが担当するから、何をやるのかは俺はよくわからん、リリーに聞いてくれ」
「魔法については、それぞれの特性を見極めてから、どんな訓練をするか決めるから、今はすることないよ、けど後で調べさせてね。それで、超能力についてなんだけど、まずは使えるようになること、使えるようになったら、調整できるように訓練していくけど、これに関しては、しっかりとはわかってないから、いつ使えるようになるのかは、ちょっと分かんないかな。」
「だ、そうだ! まあ、最終目標としては、俺とリリーのコンビを負かせられるぐらいにはするつもりだ」
「まあ、魔族のやつらは私たちより強いんだし、それくらいは簡単にこなしてもらわないとね」
「分かりました、それで、魔法っていったい何なんですか?」
「あら、そこから教えないといけないの……まあ、仕方ない、魔法って言うのは、自分の体内にある魔力を使って、何かしらの現象を起こすことよ。熟練すれば、自分の魔力だけじゃなく、自然に存在する魔力を使って魔法を起こすことも可能ね」
「その……魔法って僕らも使えるんですか? もともと僕らが住んでいたところには、魔法なんて無かったし、魔力なんてものも、創作物の中でしか聞いたこと無いんですけど……」
「それは大丈夫よ、そもそもの話、生まれたばかりの生物に魔力なんてないんだもの。訓練して、外から魔力を吸収する、もしくは体内の魔力生成器官の生成量を増やしていくの。つまり、訓練しただけ魔力は増えるわ、個人差はあるから、無限に強くなれるわけではないけどね」
リリーの話を聞き、とりあえずの納得をしたところで、ハロルドがさっそく訓練をするというので、訓練着に着替えて、準備をして集まった。
「それじゃあ、俺の訓練から始めるぞ! まずは、全員がどれだけ動けるかを確認したいから、俺と、お前らでの模擬戦だ! 最初は誰からだ?」
「え、ちょっと待って下さい! 俺たち、武器の扱いとか、何も知らないんですけど」
竜太先輩が、いきなりの模擬戦は危ないと思ったのか、そう言うと、ハロルドは、
「気にすんな! 武器の扱いが上手いなんて思ってねえ、とりあえず、武器を適当に振ったり、なんなら徒手でもいいぞ? 今は、身体の動かし方の癖とか、おかしなところを洗い出すために模擬戦をするだけだからな、怪我させるようなことはしねえから、安全だぞ!」
「そういうことなら……じゃあ、俺から行きます!」
そう言って、竜太先輩からハロルドと模擬戦を始めた。
その光景を、リリーを含めた他の全員で眺めながら、7人の中で最も運動の出来るだろう竜太先輩でも全く歯がたっていない模擬戦を見て、自分達はどこまでくらい付けるのか、と考えて遠い目をしてしまうのだった。
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