第2話 皇帝との話
「智貴! 起きてってば!」
そんな、心配するような声を聞いて、目が覚めると、不安そうな顔をした、ポニーテールの小柄な可愛い俺の彼女、
「おはよう、梓、起きたのは俺が最後か?」
「そうだよ、とりあえず状況が分からないから、全員起きるまで待とうって事になって」
「なるほど、それじゃあ、とりあえず、皆さん、話をしましょう」
そう言って、俺、
「……よく分かんねえけど、取り敢えず地球に、日本に帰れることには帰れるんだな?」
話を聞き、混乱しているのか頭を抑えながら、大柄なスポーツ刈りの男が聞いてきた。
「ええ、時間はかかりそうですが……」
「そうか……取り敢えず、それだけは分かって安心したぜ、じゃあ、まずは自己紹介をしようぜ、知ってる顔もいるかもだけど、知らない奴もいるだろうしな」
「ええ、そうね、とにかく、私たちは運命共同体なのだから、とにかく親睦を深めておいて損は無いわ」
と、女優と言われてもおかしくないほどの美人の先輩が同意したので、とりあえず簡単に自己紹介することになった。
まずは、言い出した男が、
「俺は、3年の
そして、長身の美人な先輩も続いて、
「私は、
「じゃあ、次は私が! 1年の
と、小柄で可愛い、撫でたくなるような女の子、結衣が自己紹介した。
そろそろ自分も紹介しようと、口を開けると、先に梓に言われてしまった。
「私は、2年の
「……俺の事まで言うなよ、言うことなくなったじゃん」
「じゃあ、次は俺が。俺はそこの智貴と梓の幼馴染で、2年の
「俺が最後かな、3年の工藤拓也だ、帰宅部」
こうして、全員がとりあえずの自己紹介を終わらせたところで、これからどうするかを話すことにした。
「まずは、情報を集めることが先決だと思うんだけど、聞けたこともあんま多くないから、出来れば聞くことを出して、まとめて聞きに行きたい」
という事で、何を聞くかを話し合った。
その結果、魔法とは何か、特別な力とは何か、自分たちの生活はどうなるのか、魔族とは何か、魔族以外に危険となるものはあるのか、自分の強さ、成長度合いは把握できるのか、ユダリオン以外にも国はあるのか、など、とりあえず思いつくものを考えていたところで、ドアがノックされ、部屋の外から声をかけられた。
「勇者様方、お目覚めでしょうか。陛下が話があるとの事ですので、準備出来次第、陛下の下へ向かいたく思いますが、よろしいですか?」
ちょうど聞きたいことも揃ってきていたので、了承し、全員部屋から出ると、鎧を来た、恐らく騎士だろう男が、彼らを皇帝の所へと連れて行った。
皇帝は、執務室で仕事をしていた。そこに連れてこられ、話を待っていると、
「勇者よ、暫し待ってくれるか、この書類だけ終わらせたい」
皇帝がそういうので、七人はとりあえず待つことにした。
「余が呼んだと言うに、待たせて悪かった、では、話に入ろう」
書類を終わらせ、皇帝はこちらを向くと、そう切り出した。
「昨日も娘が説明したと思うが、もう一度頼もう。現在、人間の住んでいる領域は、悪魔と呼ばれる存在に侵攻され、被害を受けている。悪魔とは、一概に言っているが、実際は単一の種族ではなく、魔族を主として、人間に害為す存在をまとめてそう呼んでいる。魔族の他には、獣人、龍人、エルフなど、亜人共も含んでいるが、それらを討伐、殲滅して欲しい。謝礼として、全てが終わればそなたら全員をこの世界から帰す事を約束しよう。やってくれるか。」
そう言って、こちらを見てきた。
とりあえず、話を受ける前に、聞きたいことを聞いてしまおうと、顔を合わせて、代表して美咲先輩が質問をすることにした。
「その前に、こちらの質問にいくつか答えていただいてもよろしいですか?」
「答えられる範囲ならば、聞こう」
「では、まず、魔法とは何か、ということを教えていただきたいのですが。私たちは、魔法というものとは無縁の世界で生きてきたので、魔法と言われても何も分からないのです。」
「うむ……それについては、後程、訓練をする時に説明で良いか? 余よりもそのものの方が詳しい故な」
「分かりました、魔法については後程聞きます。次に、特別な力、とは何ですか?」
「それについては、よく分かっておらん、というのが回答になる。ただ、異世界から勇者を召喚した際に、こちらの世界の人間には無い力を持ってくることから、便宜的に特別な力、超能力と呼んでおる。」
「その特別な力、超能力は、どうしたら分かるんですか? 私たちにはそんな力が手に入ったようには思えないのですが。」
「それは訓練次第じゃな、だが、素となるものはもうあるから、すぐに使えるようになるはずじゃ」
「分かりました、次に、害獣のようなものは存在しますか?」
「うむ、悪魔憑きと呼ばれる動物がおる、これらは知能が高い動物ならそう簡単に襲ってはこないのだが、ひとたび暴れ出すと手に負えぬほど危険でな……可能ならこれらもどうにかして欲しい、それ以外でも人間に害為す動物は可能な限り倒すようにして欲しい」
「分かりました、そちらについては、可能そうなら、力を尽くします。しかし、そのような力はどうすれば把握することが出来ますか? 現時点でどのような力になるのかを判別することは出来ますか?」
「それは無理じゃなどのような力を持ってくるのかは決まっているらしいが、誰が、どの超能力を持っているのかは今の時点では判別できぬ。」
「その辺のことは、訓練時に教えて貰えますか?」
「うむ、指導官も知っておるはずじゃ」
「分かりました、では次なのですが、私たちはこの世界についての知識がありません、こちらについては教えていただくことは可能ですか? 一般常識然り、地理等のことに関しても」
「そちらは、お主らには図書館に入る権利をやろう、そこで好きに学ぶがいい」
「分かりました、最後なのですが……私たちは、いきなり呼ばれたこともあって、自分たちの世界の貨幣も何もありません、そもそも、二つの世界の貨幣が同じとも思えませんが……つまり、無一文なのですが、生活をどのようにしたらよろしいでしょうか?」
「それについては、心配無用、城内にお主らの部屋を用意してある、そこを使うがいい」
「分かりました。知りたかったことはこれで解決しました。ありがとうございます。」
「うむ、用が済んだなら出ていくといい、余はまだ仕事があるのでな。細かいことは、そこにいる執事とメイドに聞け」
「はい、ありがとうございます。では失礼しました。微力ながら、力を尽くしていきたいと思います。」
そう言って、部屋から出ると、美咲先輩も流石に疲れたのか、ため息を吐いていた。
「では、まず勇者様方の部屋の方へ案内致します。着いてきてください。」
そう言われ、執事の人に着いて、部屋へと向かっていった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます