笠被りの用心棒
『ちょ、ちょっと!大丈夫!?』
急いで近寄る
すると、すっごく大きな帽子?
みたいな物で頭が隠れていて
分からなかったが
よく見るとそれは私よりも小柄な女の子だった。
『ど、どうしよう。
とりあえず、村のお医者さん呼んだ方が
いいよね。』
私が駆け出そうとすると、足首を
掴まれた。
『きゃっ!って、え?動いてる?』
下を見ると、倒れている女の子は地面に
突っ伏した状態はそのままで手だけが動いていた。
『すまないが、医者ではなく。団子屋を呼んでくれ。』
『な、無いけど。』
『…今、なんと?』
『私の村、団子屋は無いんだよ。』
『………。』
顔は見えないけど、
この女の子から
今生の終わりを悟ったような雰囲気を感じ取った。
『えっと、もしかしなくてもお腹空いてるんだよね。
良かったらウチ来る?今妹がお昼ご飯作ってるんだ。』
『かたじけない。』
私がはぁはぁ言いながら
なんとか家まで女の子と洗濯物を
運んでくると
二人はもう昼食を取っている最中だった。
『ただいまぁー。はぁはぁ…。』
『おかえり。お姉ちゃんってどうしたのその子!?』
『ごめん。理由は後で話すから、とりあえず私の分の
お昼ご飯をこの子に出してあげてくれない?』
『え?う、うん。わかった。』
大きな帽子を被った女の子はあっという間に
私の分のお昼を平らげてしまった。
お皿をからにした女の子は
私とシズの方に向き直って
帽子を外し、両膝を着き姿勢を整え
丁寧に上半身を折りながら言った。
『見ず知らずの拙者に温情をかけてくださり誠にかたじけない。
このご恩は決して忘れない。』
『そんな、かしこまらないでください。』
『そうだよ。シズも私も当たり前のことをしただけなんだから。
そんな気にしなくても大丈夫、大丈夫!』
『承知した。』
『そうだ。自己紹介がまだだったよね。
私はハナビ。で、私の隣にいるのが妹のシズ。
で、お嬢ちゃんの隣の席に座っていたのが
お友達のグラースちゃんだよ。』
『うむ。ハナビにシズにグラースだな。
覚えたぞ。
拙者はテン・シオン。
シオンと呼んでくれ。』
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