リトルシスター
『ちょっと!お姉ちゃん!起きてよー!』
『うーん。起きてるよー。』
『寝ながら言わないで!んー!
力が強くて
布団が剥ぎ取れない…。』
『起きてるってばぁー。』
『もうっ!寝るなー!』
『痛っ!ちょっとー。痛いじゃないシズー。』
頭に強烈な痛みを感じて覚醒した私の
目の前には首あたりまで伸びた短い髪を
下の方で左右対象に縛ったオシャレな
髪型をしている妹の姿があった。
『お姉ちゃんが起きないから悪いんだよ。』
『だからってグーで殴らないでよ。まったくもう。』
『まったくもうは、こっちのセリフだよ!
ほら、起きたんだから川で顔洗って来て!
後ついでに洗濯もお願いね!』
『はーい。』
川についた私は、先客がいる事に
気づき声をかける。
『あっ!グレースちゃん!おはよー!』
『はうっ!あ、おはようございます、ハナビさん。』
『グレースちゃんがここにいるなんて珍しいね。
洗濯しに来たの?』
『い、いえ。少し川の石を集めていたんです。』
『石を?』
『はい。草や木が水分を使って成長するように
石も水によって何かしら変化を受けていると
思うんです。だからそれを調べるために集めてて。』
『へー。そうなんだ。』
勉強熱心だなぁ。
さすが学者さんの父親を持つだけはある。
私よりも二つ下なのになんて偉いんだろう。
『あっ、ごめんなさい。こんなつまらない話を
してしまって。』
『謝ることないよー。聞いたのは私だし。
それにグレースちゃんのことが知れたから
全然つまらなくなんてないよ!』
『あう…。ず、ずるいです。ハナビさん。』
『そうだ!私も手伝うよ!石拾い。』
『え?でも、洗濯に来たんじゃ…。』
『あっ。そうだった。じゃ、終わったら手伝うね。』
『は、はい。ありがとうございます。』
洗濯をパパッと終わらせた私は、
グレースちゃんの石拾いを手伝った。
なんでもいいのかと思っていたけど
そうでもないらしく、拾った石のほとんどは
川へと戻した。
『ふぅ、暑くなって来たね。』
『そ、そうですね。太陽の位置からしてもうお昼頃だと
思いますから。』
『お昼かー。そうだ、せっかく会ったんだしグレースちゃん
このままウチでお昼食べて来なよ!』
『え?でも、わるいですよ。』
『悪くない悪くない。ささっ。行こう!』
私はグレースちゃんの肩を両手でがっしりと
掴むとそのまま押して行った。
『お、お邪魔します。』
『ただいまー。』
『おかえりー、お姉ちゃん。あっ!グレースちゃん!久しぶり!』
『お、お久しぶりです。シズさん。』
『ねぇシズ。グレースちゃんにもお昼作ってあげて。』
『別にそれは全然構わないけど。それより…。』
『それより?』
『お姉ちゃん洗濯物は?』
『あっ…。』
『ま、まさか。』
シズが疑いの目を向けてくる。
『いやいや、勘違いはいけないよ。
洗濯は終わってるから。
ただそれを川において来ちゃっただけで…。』
『そうなんだ。』
『うん。だから今から、取ってくるね!』
私は走って川へと向かった。
ついたらすぐに洗濯物をカゴに入れて、来た道を戻る。
すると途中の畦道に人が倒れていた。
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