第9話 SSS

その頃、東京都某区。


「今日から我々はSSSとしての活動に専念することになる。諸君心してかかれ。」


円卓で会議のようなものが行われようとしていた。10人の老若男女が集まっている。

そのうちの一人が厳かな佇まいで進行しようとしている。


「佐々木さん。SSSって何の略なんですか?」


大久保三木はその進行役に質問した。

大久保三木は自称珍妙スクープ記者。

オカルトに対する興味、好奇心が尋常ではない。そちら方面の興味に惹かれて参加したらしい。


佐々木は大久保の方に向きを正して、


「SSSとは、スペシャル(s)な救国の組織(s)をサポート(s)する民間組織の略称だ。スペシャルはサポートする民間組織に掛かってる。救国の組織とは、警察、自衛隊、消防、医療機関etcのことを指し示す。諸君は私個人が勧誘した構成員なのは周知の事実である。そして、非営利団体であり、民間組織のボランティア団体である。目的は日々往々にして発生する奇怪な事件の解決をサポートすることが第1である。これは肝に銘じておいてくれ。」


「巷では、消失者、殺人電虫、溶解鳥、悪魔人間など色んなものが転がってますが、まず何から手をつけるんですか?」


その質問を投げかけたのは山崎創一である。

年齢にして21。大学3年生をしつつこの組織に参加している。医大生のようでそちら方面の知識を持ってるようだ。


「無論。全てだ。全ての事柄に関して同時並行で進める予定だ。まあ取っ掛りとして、”紋”からとしようか。」


「紋とはズバリ、消失者に関する事象やが、なぜあれから手をつけるんだ?」


そう聞くのは佐倉世界という28歳。無職男性である。佐々木の友達ということで、勧誘を受け、暇だし、社会貢献したいからという理由で参加している。


「あれが起点となっていずれの事件も共鳴するかの如く発生しているからだ。始まりを解くのが重要だと考えている。それ以外に理由が必要か?」


「意外とシンプルな返事だな。」


「期待はずれか?」


「いや、想定外だったから驚いてるだけだ。」


「まあいい。」


「紋の解決の糸口を探ろうze。あれは俺が推察するに何からの証なのは間違えないと思うze。そして、共通して、消失者にのみ現れているのは消失者に関してそれを目印として何らかの勢力か人物が意志を示しているとも考えられるze。だからその意図を解明するのが俺らの役目だと思うze。」


そう語るのはジークと名乗るハーフの男性である。年齢不詳。出身は不明。謎多き人物。1つ確かなのは佐々木の同級であるということのみ。


「HAHAHA。それより殺人電虫の方が気になる木になる。cleverなあなたなら分かりますか?ささきしゃーん。」


独特な口調で喋るのは佐々木の同級だった女性の菊池柳子。


「その喋り方やめてくれ、癪に障る。」


ツッコミを入れるのは肥満症の男性、橋田寿賀男。


「口々に騒ぐな。」


止めに入るのは佐々木の同僚、橋本関一。


「一旦落ち着こーかねーねーねー。」


静止に入るのは佐々木の同僚、岸辺貴志。


「…ZZZ」


ただ一人黙って寝ているのがマキという女性である。佐々木の妹であるが、放置されていた。


「まあ、こんな調子だが、上手くやっていこうな。」


その合図と共にエイエイオーと三唱する。








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