第3話 2035年計画
この国、日本の未来は2035年に決まるそう予言をする占い師が現れた。
彼女はこの年に日本の人口の減少に歯止めがかからなくなる。
バイオテロが画策される。
EMP攻撃が行われる。
世界的大戦争が起きる。
首都直下地震が起きる。
これらの危機に直面することになるであろうと予言を語り、各種メディアに取り上げられ、一躍話題となった。
新たな大予言!としてネット上で格好のオカルトマニアらにネタにされたが、当然人々はこうネタにするのもどうせ外れるだろう。当たることがないだろう。そんな感覚で話のネタにしていた。
ある日事件が起きた。
その占い師が溶けたのである。
そう、溶けたのである。
身が文字通り、溶けてしまい、跡形もなく消えてしまったのである。
これは大事件として報道された。
何者による犯行なのか?なぜ〈溶けた〉のか?なにによって溶けたのか?いつ溶けたのか?どうやって溶けたのか?全く分からないのである。
予言を残してからたった一月のことだったので、話のネタとして取り沙汰された。
この一連の事件を通して、彼女は「消失者」と呼ばれることになる。
それからというもの1週間おきに「消失者」が増えた。
いずれもある日忽然と蒸発するというもので、跡形として、花のような紋が残るという共通点があり、その紋の形がいずれも同じであるということである。
警察は一連の流れを迷宮入りになることを懸念していた。この事件がとても人間による業ではないということ。共通項として狙われている人間の共通点として、その〈予言〉に関して世間的に有名になっていた人物ばかり狙われていることと、消えた跡に紋が残るということである。化学的物質で消されたような痕跡はなく、誘拐されたという可能性も低かった。そして決定的なのはその溶ける瞬間を捉えた映像が残っているからである。
顔から下にかけて、ドロドロと溶けていき、最後には紋を残して完全に消失するというものであった。このことからこの世のものではないものによる所業なのではないか?と噂された。
パラレルワールドに連れていかれた。
異次元に誘拐された。
異世界転生した!
映像はフェイクである。
紋はポータルで宇宙人に連れていかれた!
といった荒唐無稽な噂が次第に広まり、事態は深刻化していた。
しかし、分からないことばかりの中で、一つだけ明らかなことがあった。
何者か、あるいは何からの勢力が、その予言を公開したことを良しとしないということである。
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