第4話 テスト勉強
今週はテスト週間だ。
うちの学校はテスト週間は課題も部活もないので勉強し放題、むしろ勉強しろと言われてる気がする。
そして、俺には待ちに待った週でもある。
部活がない。
この事実は俺に、いや俺達にとってあまりにも大きなことだ。
部活が無い、ということは帰る時間が同じ、つまり一緒に帰れるということである。
先生に言ったら怒られそうな理由だが、ともかく俺はテスト週間が楽しみなのである。
「ここはこっちを先に因数分解してから、解の公式を使うんだ」
「あ、そういうことか。ありがとう翔くん、わかったよ」
下校中、俺達は手にワークを持って分からないところを教え合っていた。
別に、俺達はどっかのバカップルと違って四六時中イチャイチャしてるわけじゃない。
テスト週間なら、普通に勉強するだけである。
自慢ではないが、俺は勉強が割とできるほうである。
この前は一桁もとった。
愛美も俺と同じくらいだ。
俺は国語と英語が苦手で、理数系が得意。逆に愛美は数学と理科が苦手で文系が得意である。二人で得意教科が分かれているため、教え合うにはちょうどいいのだ。
「えっと、じゃあここは?」
「ここはね、この文法を使うからここがこういう意味になって…」
教え合いは教えてもらう側にはもちろん、教える側にもメリットがある。教えることで復習したり、自分が理解できているかを確認したりできるのだ。
それに人に教えるのって結構楽しいし、「テストで教えてもらった問題解けたよ!」とか言われると嬉しい。
傍から見れば、ただ勉強にかこつけてイチャついてるだけかもしれないが、俺達はいたって真面目だ。
「なるほど、よくわかった。やっぱり、愛美は教えるのが上手いな」
「えへへ、ありがとう。でも翔くんも上手だよ」
それからも教え合いをして、俺達はいつもの場所でわかれ、家に帰った。
*********
翌日。
俺が次の授業の準備をしていると、結菜が数学のワークを持って俺に話しかけてきた。
「ごめん、翔。ちょっと教えてほしいとこがあるんだけど」
「別にいいぞ」
こいつとは一年生からの付き合いなので、結菜は分からない問題があると俺に聞きに来る。
「ありがとう。ここなんだけど、どうやったらいいかわかんなくて」
結菜が見せてきたのは、ワークの最後の方にある発展問題だ。
普通はやらなくてもいい場所だが、うちの学校の教師は性格が悪いので、ここからもたまにテストに出るのだ。
俺は机の中からルーズリーフを取り出し、説明を始めようとして、あることに気づいた。
「結菜、もうちょっとこっち来いよ。見ずらいだろ?」
「あ、ああ。そうね。分かったわ」
そう言うと結菜は、俺のすぐ横まで近づいてくる。
いや、こっち来いとは言ったけどさ…。
「なんか近くない?」
「気のせいよ。それに同じ向きの方が私も見やすいし、あんたも説明しやすいでしょ」
「そうだけど…。まあいいや。で、この問題はな…」
そう言って俺は結菜に説明を始めたのだった。
「ここまでは分かるか?」
「え、ええ。だ、大丈夫よ」
なんか説明中、ずっと結菜が挙動不審だった。
どうしたんだろうか。
**********
もしこれを読んだ人で「こいつ同じ学校じゃね?」と思っても、僕を探したりしないでください。
誤字脱字等ありましたら、コメントしてください。
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