第2話 委員長会

「ああ、委員長会めんどくさい…」


「今更何言ってんのよ」


今日は月に一度の委員長会の日である。まあ、他の委員会もあるおかげで、愛美と一緒に帰れるんだけど。

俺は委員会の教室に向かって副委員長の結菜と一緒に歩いていた。


「ってそのセリフ、去年も聞いた気がするんだけど」


「奇遇だな。俺も同じことをお前に言った気がする」


くだらない話をしながら、二人で廊下を並んで歩く。


「そう言えば、何でいきなり副委員長なんてやる気になったんだ? 去年までは全く興味なさそうだったのに」


「そ、それは、その…、あんたと一緒にいられるから…」


結菜は小さな声でぼそぼそと何か言っている。声が小さくて聞こえない。

心なしか顔が赤いような…。

今の話に赤面する要素あったか?


「何て?」


「あ、あんたには関係ないでしょ!私がやりたかったからやったの!バカ!」


「逆ギレ!?」


なんか怒られた。

愛美といい、結菜といい、何で変なとこで怒るんだ?


「良かった。聞こえてなくて…」


また結菜がぼそぼそと何か言っている。

怒られそうだから、聞くのはやめとこう。



「そもそも、めんどくさいなら、やらなきゃ良かったじゃない」


話題が最初に言ってたことに戻った。


「いや、でもさ。

あそこでもし推薦とかになったら、それでなった人が可哀想だなって。もしかしたら、その人は勉強がしたくてやらないのかもしれないし。それだと、嫌々やることになるだろ?

だから、そうなるぐらいなら、俺がやる。委員長の仕事も、別に嫌いじゃないしな」


「あんたって、ホント変な性格してるわよね」


「ほっとけ」


まあ、昨日の場合は愛美早く会いたかったっていうのもあるけど。


ん? 待てよ。


「おい、結菜。なんかこの会話、前もした気がするんだが」


「奇遇ね。私も同じこと思ってた」





委員会で何かをやるかだの、クラスの雰囲気がなんだの話していると、目的の教室の前に着いた。

扉を開けて中に入ると、俺のよく知った声が話しかけてきた。


「やあやあ園田くん。また委員長になったんだね」


「はあ、またここの担当はあなたなんですか、うっちー先生」


「先生にその態度は良くないと思うなー」


この人は一年生の時からずっと、この委員長会の担当をしている、うっちー先生もとい内村うちむら 明美あけみ先生だ。


性格が明るく、とても接しやすいため、生徒からの人気も高い。

ちなみに、年齢は不詳。

聞こうとしたら、すごく良い笑顔で返された。

それはもう良い笑顔で、逆に怖くて聞けなかった。


「またあの理由でなったのかい?」


「そうですよ」


「ほんっと、君はクラス運ないねえ」


「それ、教師のあんたが言っていのか?」


ていうかそう思うなら、もう少しクラスメイトを積極性のある奴にしてくれ。



「ねえ、あんたとこの先生ってどんな関係なの?」


しまった。

うっちー先生と話していたら、完全に結菜のことを忘れていた。


「どんな関係も何も、教師と生徒だよ。それ以上でもそれ以下でもない」


「そう、なら良かった」


「なにが良かったんだ?」


「あ、あんたには関係ないことよ!」


また怒られた。


「あー、はいはいお二人さん。そんなとこでイチャイチャしてないで、早く座って」


「い、イチャイチャなんてっ!」


結菜が顔を赤くしている。

相当怒っているようだ。


「結菜、先生のペース巻き込まれるな。あんなの無視だ、無視」


「あんたも何で平然としてるのよ…。あっ」


俺は結菜の手を引っ張って、教室の中へ入っていく。


「さ、早く終わらせて、帰ろうぜ」


「私達が早く座ったって、全員そろうまで始まりもしないわよ。バカ」


そう言って結菜はちらりと繋がれた手を見て、


「そういうところが好き。バカ」


俺には聞こえない声で、ぼそりと呟いたのだった。















*********


一応補足しておきますが、主人公は誰にでも手を出すクズではありません。

ただちょっと無意識でちょっと鈍感なだけです。


誤字、脱字等ありましたら、コメントしてください。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る