第0.09ー04話 情報屋、弦さん②(ジョウホウヤ、ゲンサン②)
「なーるほど!
その『哭竜会』の孫ってのが当面の獲物ってわけか。
イリス、早く狩っちまおうゼ。
ソイツ狩らねーと普通の生活に戻れねーしよ。」
「――チョット待って。
今の話で弦さんに確認したい事があるの。
いいかしら、弦さん?」
「モチロンですよ、イリスさん。
私が知っている事であれば包み隠さずお話しします。」
「……緊張状態にある二つの組織に属する――それも、それぞれの組織の根幹に近い――二人が恋愛関係にあった。
しかも、その関係は周りの者たちに知られていた……と。
なぜ、組織はこの二人の関係を認め放置したのでしょうか?」
イリスにしては丁寧な物言いじゃねーか。
それに確かに言われてみれば、それは俺も知りたいぜ。
恋愛は自由だけど、敵対してる組織の重要人物同士となりゃリアル『ロミオとジュリエット』だもんな。
「なるほど。
尤もな疑問ですね。
ほっておけば面倒な事になるかもしれない二人の恋愛。
なのに、ナゼ二人の関係を黙認していたのか?
……それには理由があるのですよ。
『哭竜会』『紅いドクロ』を束ねるそれぞれの
出来れば穏便な形での共存を模索していた……という所でしょうか。
そして、あの二人が恋愛関係になり上手く事が運んでゆくゆくは結婚……となればイイ形で現状を打破できると考えていたのです。
ですがあんな事件が起きてしまってはソレも難しいでしょう。
下手をすれば全面戦争にもなりかねません。」
弦さんが話し終わるのを待っていた様なタイミングで不安を煽るサイレンを響かせた数台の警察車両が店の前を通り過ぎた。
警察も喰った奴を探してるってワケか。
狩りのジャマになんなきゃいーけどな。
「さて、警察の動きも慌ただしくなっている様です。
早く行動を起こした方がいいでしょう。
……その前に一つだけ。
『哭竜会』トップの孫……彼は空手とボクシングの猛者です。
中々の強さだと言っておきましょう。」
俺は、我知らず全身の毛が逆立つのを感じた。
そうか……、ソイツは強いのか!
なら絶対に倒してやるぜ。
血が滾っていた。
「それから最後にもう一つ……。
決して油断せず、闘いが終わったら必ず二人でココに戻ってきなさい。
飛び切りの食事を用意して待っていますから。
……では、気を付けて行ってきなさい。」
※BGM「Tales From The Thousand Lakes」/Amorphis
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