第0.09ー03話 情報屋、弦さん(ジョウホウヤ、ゲンサン)

 「なるほど……。

 つい最近になって私の所に入って来る様になった噂の真相はソレでしたか。

 イリスさんの話で納得がいきました。

 人間離れした話だと思っていましたが、正しかったという訳ですね。」


 「弦さんの所にこの件に関する情報が伝わっていた……と?」


 「ええ、イリスさん。

 実はこの街は今、色々な事が起きつつあって難しい状況なんです。」


 「――どういう事だよ、弦さん!

 俺にもわかる様に話してくれよ。

 ったく二人して話進めやがって……。

 実際に闘うのはこの俺なんだっつーの。」


 「ほぉ……、それは興味深い話だね。

 お前さんが闘う……。

 天狼派古流を人ならぬ者相手に使うのか。

 底の知れない技だと思ってはいたが……ね。」


 「一人で納得してないで教えてくれよ!

 この街がどーなってんだって?」


 「まぁ、慌てなさんな。

 今からチャント説明するから。

 コレはイリスさんにとっても有効な情報になるかもしれない。

 だから、二人ともしっかり聴いて欲しい。」


 俺達は二人して頷いた。

 弦さんは、今度は自分でレモンウォーターのグラスを一気に空けた。

 窓の外をまた警察車両が何台か通り過ぎる。

 サイレンの音が低くなるのを待って、弦さんが口を開いた。


 「今、この街は平和に見えてある二つの勢力が互いにもう一つを潰して自分達が支配しようとしているのだよ。


 一つは『哭竜会こくりゅうかい』。

 武闘派の極道なんだが、昔ながらの任侠を重んじる組織でね。

 随分昔からこの街の用心棒的な存在だったんだ。

 彼らは、もう一つの勢力をけん制しながら街の揉め事を片付けたりしてきた。


 さて、そのもう一つの勢力は『Красный Черепクラースニィ・チェーリプ』、日本語にすると『紅いドクロ』かな。

 武闘派のマフィア組織で、元々は日本の電化製品や車の輸出で大きくなった。

 この組織は地下格闘技が大好きで頻繁に開催している。


 ……ここからが肝心な話になる。

 これはこの二つの組織内では知られた事なのだがね。

 『紅いドクロ』の首領ドンの孫娘と、『哭竜会』の頭首トップの孫……この二人は恋愛関係にあるんだ。


 ――そして、今朝早く『

 どうにも無残な死に様だったらしい。

 情報では、……という事だ。

 一方、恋愛関係だった『


 ……理解してもらえたかな?

 私の推理……いや、推理なんてしなくてもすぐにわかる話だけどね。

 『

 そして恐らく、……。」




※BGM「Prometheus - The Discipline of Fire & Demise」/ Emperor

 

 

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