第0.07話 天狼派古流(テンロウハコリュウ)

 「俺が……強い、だって?

 そりゃ技は知ってるし使い方も判るけどよ、強さってヤツぁ実戦の経験で磨かれるモンだろ? 爺さん――俺の師匠な――も、そう言ってたしよ。 

 俺の実戦経験は……片手で数える程だぜ。」


 ≪天狼の技を継ぐ者よ、

 イクラ数多アマタノ実戦経験ヲ積モウト、

 ソレデハ……。≫

 

 あたわず……漢文かよ。

 それに、……

 まぁ確かに言ってる事は正しいのかもな。

 今の時代じゃ命のやり取りなんてそうそう出来る訳もないし。


 ≪天狼派古流ハ、……。

 オ主モ知ッテオロウ?

 天狼ノ技ハ1600年以上ノ永キニ渡リコノ世界ノ闇ニ忍ビ時代ノ陰ニ生キテキタ。……シカシ、


 天狼ノ技ニハ、……トイウ事ダ。

 ソレハ追々……、イヤデモ知ル事ニナルデアロウ。

 今ハ魔族界ニ起キテイル事態ヘノ対処ノ方ガ急ヲ要スル。

 放置スレバコノ世界ノ危機トナルデアロウ。


 オ主ハ、コノ魔族界ノ者ニ天狼ノ技ヲ貸ス様ニ乞ワレタノデアロウ?

 ソシテコノ天狼ノ同意ヲ得ニココヘ来タ……ソウジャナ?

 ソレナラバソノ同意……オ主ハ既ニ得テオル。

 コノ天狼、使。≫


 おぉ……。

 なんかハナシまとまったな。思ったより簡単に済んでよかったぜ。

 天狼派古流って確かに歴史が長いのは知ってたけど俺が知ってる事以外にも色々と裏がありそうだ。まぁ、それはそれで面白いけどな。


 「――天狼殿、その言葉に心から感謝する!」


 すかさずイリスが割り込んできた。

 イリスにしてみれば望み通りになったんだから仕方ないやね。

 でもコレって俺の手柄なんじゃね? 

 感謝するがよいぞ、うん。


 「……それから、アンタ。

 言ったわよね、【古き狼】には敬意をもって話す様に……って!

 お爺様とともに闘った戦友に無礼であろう!!

 これは、躾が必要みたいネ……。」




 ※BGM「The Past And Now」/Stratovarius

 

 


 

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