第14話 討伐依頼

 ギルドへと向かっている途中エリスが先程のデーモンメイドについて質問をしてきた。


「ね、ねぇ‥‥さっき家に召喚したあれって‥‥」


「デーモンメイドじゃ。あやつは自分をエルダーデーモンサーヴァントと言っておったな。」


「そんな名前のデーモン聞いたことないわ。」


「そうじゃろうな。デーモン自体滅多に表に出てこない存在の上、あやつは上位のデーモンじゃ。聞いたことがなくても不思議じゃない。」


 デーモン等の悪魔的な魔物は基本召喚を行わないとこの世に出現すらしない。まぁ俗にいう裏の世界の住人と言うやつじゃな。

 そしてデーモン等を召喚した際には必ず何か貢ぎ物‥‥つまるところの贄が必要となる。

 今回のデーモンメイドは特殊なタイプでカールと儂に永遠の服従をすることを召喚に応じる対価として望んでいたため、臓物等を貢ぐ必要はなかった。デーモンの中にも不思議なやつはいるものじゃの。


「上位のデーモンって‥‥大丈夫なの?確か召喚に生け贄とか捧げないといけないって聞いたことがあるんだけど。」


「本来は‥‥な。あやつの場合は特殊での、召喚の対価に儂らへの従属を申し出てきおったのじゃ。」


 誤って召喚した上位のデーモンが突然目の前で跪き、服従を申し出ていた時のカールの顔といったら‥‥くっくく‥‥今思い出しても笑いが止まらぬわ。


「ま、お主は何も心配せずとも良い。あやつは儂の指示がなければ人に危害を加えはせんからの。」


「そう‥‥それならいいんだけどっ。」


 エリスにデーモンメイドの説明をしていたらあっという間にギルドへと着いてしまった。

 中に入ると座っていた男達が一斉に立ち上がり儂らの前にやって来て深く頭を下げた。


「「「エリスさん、グリアさんおはようございますっ!!」」」


「えぇ、おはよう。それじゃグリア、私は仕事があるからここでお別れね。何か分かんないことがあったらいつでも部屋を訪ねてくればいいわ。」


「うむ、そうさせてもらうのじゃ。」


 頭を下げる男達の横をスタスタと歩きエリスは仕事をするため自室へと向かっていった。

 エリスはいつもギルドへと来る度にこういう対応を受けておるのじゃろうか?チラリと男達に目を向けると未だに儂に向かって頭を下げている。


「ふむ、まぁいいかの。」


 エリスと同じく男達の横を通り抜け、受付へと向かう。するとそれを確認した男達は静かにもといた席に戻り、静かに酒を飲み始めた。


「‥‥不思議なやつらじゃ。さて主、儂に依頼を受けさせてくれ。」


 受付嬢に話しかけると彼女は元気良く対応してくれた。


「はいっ!!えっと‥‥討伐系の依頼でいいんですよね?」


「構わん。」


「討伐系の依頼ですと、グリアさんが受けられるのはこちらの三つになります。」


 テーブルの上に受付嬢は三枚の紙を並べた。一枚一枚手にとって確認してみると‥‥。


「なに‥‥増えすぎたゴブリンの討伐に、作物を荒らすファングボアの討伐‥‥で、最後にポイズンビーの巣の駆除か。どれも下等な魔物の依頼だのぉ~。」


 まぁ、最初じゃからの。仕方ないか。にしてもこやつらの目撃されておる場所はずいぶんと近いな、街の外にある農場付近で全て目撃されておる。これなら一気に全て片付けても良さそうじゃ。


「この依頼、全部受けるということはできるのかの?」


「もちろんできますよ?」


「ではこれを全て受けさせてもらうのじゃ。」


 依頼書にサインを書き、契約が完了する。そしていざ目撃された場所へと出向こうとすると受付嬢に呼び止められた。


「あっ!!グリアさん、魔物の討伐証明を剥ぎ取るの忘れないでくださいね?」


「討伐証明とな?」


「あ、あれ?エリスさんに聞いてませんか?討伐系の依頼はその討伐した魔物の何か特徴的な部位を持ち帰ってこないと討伐証明にならないんです。」


 そういえばそんなことをエリスが言っていたような‥‥言っていなかったような‥‥。まぁ良い、何にせよ面倒なら魔物をそのまま持ってくれば解決じゃな。


「あいわかった。では行ってくるのじゃ。」


 しっかりと討伐証明のことも頭にいれたので、ギルドを後にし魔物が目撃されたという街の北方向にある農場を目指すのだった。


 

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