第24話 牧場惑星アラマキバ
すぅうううううううううううーーーーーー
星星が散りばめられた宇宙空間を銀翼をばたつせ。銀龍号は静かな静音の機械音を発しながらら進む。
「ムム、牧場惑星アラマキバはまだか?。」
「キィ、もうすぐ着く。」
サーチマーカーで地球産の豚が養殖されているという万能養殖地、牧場惑星アラマキバの座標位置を豚楽亭のラーメン亭主の奥さんに教えてもらい向かっている。
万能養殖地とはありとあらゆる環境、風土をその家畜に似合わった土地に合わせることができる特別な養殖地である。
動物は様々な環境で生息している。寒い地域や暑い地域、乾燥した地域、湿った地域。それら全てを万能養殖地である牧場惑星アラマキバは整えることができるのだ。他の銀河で取り寄せた動物(家畜)を買い入れたものが牧場惑星アラマキバに預け。専門の育成者に頼むことがここヘクサーギャラクシィでは一般的らしい。
他の銀河で取り寄せた家畜の食材をここで補給するそうだ。豚楽亭のラーメン亭の亭主も牧場惑星アラマキバで養殖した地球産の豚をラーメンの材料である豚骨にしているそうだ。豚骨だけでなくチャーシューの材料にもしている。豚は鳴くところ以外は全て食材として使えると言わしめた家畜である。本来ならヘクサギャラクシィ内の家畜は食材にすれば捨てる部位が必ず出てくるが。地球産の豚に関してはそれが一切ないという。というよりは地球の習慣が関係してるらしく。地球産の食材に関して捨てるような真似はせず。食材を最大限に生かしていると師であるネテリークから聞かされていた。だったら肉を喰わせてくれと内心思ったことはもう一度言ってみる。
おおおおおお
「キィ、大翔。どうやらあの惑星が牧場惑星アラマキバみたい。」
前方にガラスのゲージかかった巨大な惑星が見える。ガラスゲージの一つ一つ枠組みの中に氷やら砂漠、牧草、アマゾン、火山地帯など多種多様の自然環境の土地が惑星の外界からでも見通すことができる。海も一応あるがそれほど比率は高くない。というよりは全種の大自然の環境地がこの牧場惑星アラマキバに揃っていた。恐らくこれが万能養殖地と言われる由縁であろう。
牧場惑星アラマキバには惑星レイケットと違い。惑星アラマキバの軌道上に普通に宇宙ステーションがあった。どうやらステーションから軌道エレベーターに乗り換えするらしい。家畜を養殖しているからにして衛生面は徹底しているようだ。外部から菌やウィルスを持ち込せないための対策であろう。確かに家畜で地球で猛威を振るった病気には狂牛病や鳥インフルエンザや豚熱、口蹄疫などがあったな。植物専門であるネテリークでも何故だか家畜の病気について詳しく教わった。だったら肉を喰わしてくれともう一度文句を言ってみる。
「えっと、宇宙船のポートは何処だ?。」
「キィ、あそこ。」
ムムは小さな肉球の指を指し示す。
牧場惑星アラマキバの軌道上宇宙ステーションに確かに輸送船の入れかわりが激しい出入口があった。あそこから養殖した家畜を運びだしているのであろう。
「家畜を出入りしていることを解ったが。一般の入港口はどこだ?。」
入れ換えの激しい輸送船の出入り口から割り込む隙はない。どうみてもあそかが一般の正規の出入り口ではなさそうだ。
「キィ、あそこが来客者専用みたい。」
ムムが小さな指を差したところは隅っこに一般の宇宙船が入る枠の出入り口は確かにあった。
「一般の人間はあまり来ないのかなあ?。あんな隅っこに出入口あったら沢山入れないだろうに。」
牧場惑星アラマキバは一般の出入り口は広くない。一般人の出入りは少ないのかもしれない。出入りするのは牧場関係者か、発注者、家畜商だけだろうか?。
「それじゃ、一般の出入り口に入るぞ。ムム。」
「キィ」
大翔はゆっくりと銀龍号を転回し。一般向けの出入り口へと向かう。
ステーションの四角形の出入口をはいる。出入口の正方形真下にはドッキング用の機械のアームが設置されており。大翔はそこへとゆっくりと銀龍号の船体をおろす。
ガシ ガシャン‼️
アームは器用に銀龍号の船体低面を鷲掴みしてそのままレールがスライドする。
ぶぃぃぃぃぃぃぃぃ
ぷしゅううううううつううううううううう
レールから銀龍号の船体がスライドして移動すると同時に上下から白い霧のようなもが噴射される。どうやら船体を消毒しているようだ。次に乾燥されたり熱したり冷ましたり。消毒用の特殊なブルーライトで照らす工程もあった。本当に牧場惑星アラマキバは衛生面を徹底してるらしい。でなけれげありとあらゆる銀河から家畜を引き取り養殖するなど不可能であろう。
あらゆる消毒の工程を終了し。やっとステーションのドックのような場所に到着する。しかし銀龍号の到着した場所でも船体が透明な何かに密閉されていた。
『牧場惑星アラマキバまでようこそ。買い入れですか?。家畜の養殖ですか?。身分を明かし。目的を提示してください。』
銀龍号のコックピットの前窓から突然スクリーンのようなものが現れる。スクリーンの映像には牛のような角を生やした白い毛並みした女の惑星人(ネヴィト)が写しだされていた。ムムとは違い少し人間よりの獣人のような惑星人(ネヴィト)である
『俺は宇宙冒険者の大翔。此方はムム。惑星レイケットの豚楽亭の亭主からラーメンの豚骨の材料である豚を取りに来た。地球産の豚はまだあるか?。』
暫く放置していたと聞いていたが。牧場惑星アラマキバはまだ育成、養殖しているのだろうか?。放置したままだったから家畜は殺処分されたとはあまり考えたくはない。
「惑星レイケットの豚骨亭のエルゲヌさんです。はい、預かっております。地球産の豚はまだ牧場で育成されております。暫く出荷要望がなかったので心配しておりました。」
ホッ、どうやら牧場惑星アラマキバの万能養殖地ではまだ地球産の豚の育成をやめてないようである。それに豚骨亭の亭主の名はエルゲヌという名らしい。
「一頭欲しい。」
『代理許可証が必要です。』
「代理許可証?。」
「キィ、大翔、牧場惑星アラマキバの家畜引き取るのに許可証が必要。」
ムムに言われ大翔の顔は渋る。
そう言えばそうだよなあ。頼まれてもほいそれと養殖主、家畜商でもないものにたいして家畜をあけわたすわけがない。家畜を入手するにも契約書や注文書のようなものが必要であると大翔は今更ながらに気付く。そして失敗したと頭を抱える。
「キィ、心配ない。豚楽亭の主人の奥さんから座標と一緒に許可証も貰っている。」
「でかしたぞっ!?ムム!。これで地球産の豚が入手できる。」
「キィ!」
ムムはえっへんと白い長い胴体を前にだして胸を張る。相変わらず何処から何処が胸なのか解りずらいが。
「キィ、サーチマーカーで代理許可証のデータの送る。」
ムムは腕に装着していたサーチマーカーからデータを送信する。
どうやらサーチマーカーは座標を記録したり。惑星の危険レベルを把握するだけでなく。記録したデータを送ることも可能のようである。流石は銀河レベルの技術である。科学レベルが地球の先の先をいっている。
「はい、確認しました。どうぞ船をお降りくださいませ。アラマキバのステーションで消毒、検査をすませた後、アラマキバ専用のガイド(案内人)がアラマキバの牧場を案内いたします。地球産の豚の養殖地は牧草エリアのB区画にございます。では牧場惑星アラマキバのご来場を存分にお楽しみ下さい。」
前窓から写しだされた映像スクリーンは一瞬にしてプツんと消える。
「さて、降りるか。ムム。」
「キィ。」
大翔とムムはコックピットのベルトを外し。ハッチ扉を開け銀龍号から降りる。
ぷしゅうううううううううううううううう
「くっ!。」
「キィ!?。」
銀龍号から降りた瞬間白い霧じょうのようなものに俺とムムに吹り掛かかる。
ぷしゅううううううつううううううううう
出た瞬間に消毒かよ!。
大翔は顔をしかめる。
衛生面を徹底しているのは解るが。出て早々消毒するのはどうかとおもうが。有無も言わさず消毒されるのは自分達が何か汚物は消毒だ!!と言われているようで嫌な気分になる。
吹き掛けられた白い霧じょうが終わり。続いて浮遊する小型ロボットが青いX線?のような光センサーが俺とムムの頭部から足元まで満遍なく照らしあわせる。
体内に何かしらの病原菌、ウィルスを所有していないかの検査であろう。
このヘクサーギャラクシィ(六角銀河)内ではスキャンサー(走査機)で鉱物、物質の成分を調べられるだけでなく。特殊な光センサーでウィルスや病原菌を判断することも可能なのだとネテリークから教えられた。故に未知のウィルス、病原菌以外なら即特定できるそうだ。ほんと便利な世の中になったものだ。病気を光センサーだけで特定できるならもう医師の検診も必要ないのかもしれない。
俺とムムは消毒、検査を終え。やっと船を覆う密閉空間からでることができた。
アラマキバの宇宙ステーション内を出歩くことが許される。ステーション内はそれなりに惑星人(ネヴィト)がいた。きっと競り師か家畜商、牧場関係者だろう。
「お待たせしました。」
俺とムムは宇宙ステーションのホールに突っ立ていると突然声をかけられる。
声の主に視線を向けるとさっき銀龍号のコックピットで映像スクリーンでやり取りした白い毛並みの肌と牛のような角を生やした獣人よりの惑星人(ネヴィト)が立っていた。
牛のような角を生やした獣人よりの惑星人(ネヴィト)は肉付きのよい身体をしているようで。胸辺りがかなりつきでて。腰あたりが引き締まっている。あまり詳しくはないがグラビア並みの身体つきをしている。
「大翔様、ムム様、私はアラマキバ牧草エリアB区画を担当しております。ガイド(案内人)のエフィラフィビ・ホルスタインと申します。」
かなり舌を噛みそうな名前だ。惑星人(ネヴィト)には言いにくい名前があることは知っていた。ネテリークから貰っている意志疎通な可能な惑星人(ネヴィト)専用の言語翻訳機でも発音不可能な惑星人(ネヴィト)の名前も存在するらしい。
「宜しく頼む。」
「キィ!。」
俺とムムは軽く会釈する。
『はい、では失礼ですが。銃器は預からせてもらいます。セーフティがかけられているとはいえ、万が一家畜当たると困りますので。』
「解った。」
当然の判断だ。養殖地の家畜に謝って誤射させないための対策であろう。
大翔は素直に二丁の銃の入ったホルスターの腰ベルトを外し。アラマキバのガイドであるエフィラフィビに手渡す。
「はい、確かに受け取りました。」
ガイドのエフィラフィビは銃ホルスターの腰ベルトをカゴを乗せたロボットのかごへと入れる。
「では参りましょう。」
牧場惑星アラマキバのガイドに促され。俺とムムはついていく。ステーション内の惑星に繋ぐ軌道エレベーターに乗り込む。
ぶいいいいいーーーーーん
「アラマキバは初めてですか?。」
「ああ、俺とムムは初めてだ。」
「キィ。」
俺とムムは素直に頷く。
特に牧場惑星アラマキバそのものに興味はない。あくまでアラマキバで養殖している地球産の豚に用があるのだ。植物関してやたら執着する師であるネテリークに関して別として。興味ないものはほとんど興味はない。それが宇宙冒険者の宇宙探索に必要不可欠なら甘んじてそれを覚えようとは思う。しかし養殖や農業、畜産に関して惑星探索に必要かと言えばそうではない。だから覚える気はない。ネテリークの植物の知識は確かに宇宙探索で役はに立ってはいるが、養殖や農業、畜産が宇宙冒険者の宇宙探索に何の役に立つのかと言えば正直解らない。だから覚える必要はないと判断する。
「では牧場惑星アラマキバの養殖している家畜の数々を紹介しましょう。」
「いや、結構だ。俺達は豚楽亭のラーメン亭主に地球産の豚を引き取りにきただけだ。牧場惑星アラマキバの養殖や育成している家畜に関して特に興味はない。」
「いえいえ、折角我が惑星に来訪したのですからこの惑星の生態、育成、養殖方法など詳しく紹介しますよ」
「いや、いいっての。」
「いえいえ、遠慮なさらずに。では先ずこの牧場惑星アラマキバの成り立ちから話しましょう。」
ペラペラペラペラ
「········。」
「キ··キィ······。」
ペラペラペラペラ
アラマキバのガイド、エヒィラヒィビは頼んでもいないのに勝手に牧場惑星アラマキバの養殖方法、育成方法、家畜の種類などを説明し始めた。
ああ···これ··ネテリークと同じ人種だ。
俺は完全に諦めモードに入る。
牛のような角を生やす獣人よりの惑星人(ネヴィト)、エヒィラヒィビは軌道エレベーターが地上に到着するまで牧場惑星アラマキバのうんちくを聞かされる羽目になった。
「到着しました。」
「やっと···か·····。」
「キ·····キィ·····。」
軌道エレベーターだけでなく。目的の牧場に到着するまでガイドのエフィラフィビにうんちくを聞かされた。ネテリークの植物オタクの長話に慣れているとはいえ。会話がほぼ途切れることもなかったのでかなり疲れた。
ドドドドドド
目的の地球産の豚牧場の柵の中には確かに地球産の豚を目撃する。しかし柵の中の豚はバッファローばりの勢いでアラマキバの牧場を激しく駆け回っている。
はて?豚ってこんなに獰猛だったか?。
柵の中にいた地球産の豚はかなり動きが活発で。豚というよりはほぼ猪に近い。先祖返りでもしたのだろうか?。豚の先祖が猪かどうかは知らんが。
「おや、エヒィラヒィビじゃないか?。どうしたあんたが現地に脚を踏み入れるなんて珍しい。」
髭を生やすバッファローのような二本のゴツい角を生やした惑星人(ネヴィト)の老人が畜舎から現れる
「オーデンさん。こちらはレイケットの豚楽亭の主人エルゲヌ様から地球産の豚を調達を頼まれた宇宙冒険者の大翔様とムム様です。」
「宜しく。」
「キィ。」
「エルゲヌ?あいつやっとまたラーメンを作る気になったんか。」
豚楽亭の主人エルゲヌとは深い知り合いのようで呆れた顔を浮かべていた。
「出荷しても構わんが。豚は暫く放置していたから野生化しているぞい。わしからもう手に負えなくなってしまった。。」
ドドドドドド
オーデンの視線に柵の中にいる地球産の豚を見ると確かに元気よく走り回っている。どうみても普通の豚がする走りではない。
「では俺が捕まえよう!。」
豚骨ラーメンのためなら豚を捕まえるなど容易い。宇宙冒険者としての訓練も受けているし問題ない。
「大丈夫か?ボウズ。あいつは他の家畜と訳が違う。この宇宙環境でかなり進化している。より狂暴より獰猛になってるかもしれない。」
ここの牧場管理者であるオーデンは眉を寄せ渋る。
「大丈夫だ。たかが豚です。すぐに捕まえて見せるよ!。」
大翔は勢いよく腕を捲し上げ。柵の中へと入る。
他の銀河の環境で進化したといってもたかが豚である。狂暴化したといってもどうせ豚が猪になった程度であろう。大翔は軽く余裕をみせる。
大翔は静かに牧草の草を食べる豚の後ろ姿ににじりよる。一歩一歩静かに確かな足どりで近付いていく。
モジャモジャ
地球産の豚は牧草の草を食べることに熱中していた。
しめしめ、これなら余裕で捕まえられそうだ。
大翔はニヤリと笑みを浮かべ。豚の真後ろをとる。
「今だっ、!?。」
ガバッ
大翔は勢いよくて手を広げ。豚の腹部分を触ろうとする。
サッ
「何っ!?。」
豚は目の前で一瞬にして消える。
ブヒッ!!
バッキィ!!
「へぶっ!。、」
大翔は手軽に豚を捕まえようとしたが。アラマキバの牧場の地球産の豚はその俊敏な動きでかし。そのまま勢いつけて大翔の頬を割れた蹄でおもいっきり殴りつける。そのまま大翔は牧草地に倒れこみ。大翔の手と足と膝が牧草の草地につく。
「キィ、キィ!?大翔!?。」
「おいおい、大丈夫か!?。ボウズ!。」
「大翔様!?。」
そんな衝撃的な光景にムムと牧場管理者であるゲロム、アラマキバのガイドのエフィラフィビが顔を真っ青にして絶句する。
「········。」
つううううーーー
豚の蹄におもいっきし殴りつけられた大翔の頬の口の端から一筋の血が流れ出る。
ブッヒヒヒヒッ! ブッヒヒヒヒヒヒッ!
「·········。」
大翔を殴った豚はそんな大翔の無様な姿をみて。嘲るようにせせら笑う。
「········。」
大翔は口の端から流れ出る一筋の血をぐっと力を込めて拳の甲で拭う。
ゴゴゴゴゴゴゴ
怒りに満ち満ち溢れたギラついた視線を大翔は殴り付けたただの地球産の豚に向ける。
「上等だー豚‼️。お前をぜってえに豚骨にしてやるーー‼️。弱肉強食の厳しさを教えてやらあああーーーーーー!。」
大翔はキレて大きく吠える。勢いよく立ち上がり。豚目掛けて拳を込めて突進する
「うっらぁーーーーーーーーーー!。」
ブッヒーーーーーーーーーーー!。
一人一頭の弱肉強食の死闘が始まる。
▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩
万能養殖地、牧場惑星アラマキバで大翔は豚骨ラーメンの材料である野生化した地球産の豚と死闘を繰り広げる。
次回 社会不適合者の宇宙生活 上等‼️
第23話
『帰りの一杯』
不良少年は荒波の海へと飛び込む······
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