社会不適合者の宇宙生活 上等!!

マンチェスター

第0話 プロローグ

少年は崖に広がる広大な大森林を見渡す。生える植物は一本一本どれも種類が違うものであった。

少年は森林に頭上に浮かぶ星星を満面な笑みで眺めていた。少年の大地からは見える空は青空ではなく。銀と黒が交じった無数の星星が並ぶ宇宙のような空であった。否、少年は眺める空は紛れもなく宇宙そのものであった。

緑溢れる大地に少年は佇み。

満天の星星の空を黄昏るように少年はみいいる。


「大翔(はるま)~。」


少年を呼ぶ声に反応し振り返る。


トタタ タタタ

少年の振り返った先に胴体が真っ白な毛並みに覆われ。白獣耳をぴくぴくさせ。地を這うように人型の獣が駆け寄ってくる。

小さな豆粒の鼻に左右に三本の鮮やかな髭が生えていた。

少年の前に立ち。くりくりとした円らな亜麻色の瞳を親しそう少年に向けてくる。


「キイ、宇宙探索船の出発の準備できたよ。」

「そうか·····。」


大翔と呼ばれた少年はニヤリと不適な笑みを浮かべる。


「いよいよ出発か。さっさとでよう。アースエジュケイションに鉢合わせしたら面倒だ。」


大翔はニヤニヤしながらも崖から見納めとなる植物が溢れる惑星の景色を暗黙の別れを告げるかのように眺める。

サアアア

少年の暗黙の別れの挨拶に惑星に育つ全ての植物は皆こたえているようだった。


「大翔嬉しそう····。」


人型の獣は白い獣耳をぴくぴくさせ。少年の表情をじっと観察する。

大翔の口筋が上がり口を開く。


「····嗚呼···良いスリルだ·····。」


ザアアア


     ●●●●●●●


三年前俺はどうしようもないほどの不良だった。普通に恐喝し。普通に喧嘩に明け暮れ。普通に問題行動起こす紛れもないはみ出し者であった。ただ違いがあるとすれば俺の恐喝も喧嘩も自分より強い相手にしかしなかった。自分としては弱い相手に対して恐喝や喧嘩して何処が面白いのだろうといつも疑問に思っていた。自分より強そうな相手のほうが断然スリルあるだろうに。長くつるんでいた不良仲間も親父狩りやホームレス狩り、学校内の苛めを自慢話をするかのように毎日会話していた。それを楽しそうに談笑する不良仲間の姿をみて俺はいつも疑問に思っていた。何でこいつら自分より格下の弱い相手にそんなに意気がっていられるのだろうかと。そこだけ不良仲間と俺とでは添りが合わなかった。

だがある日俺に転機が訪れる。

それはいつもつるんでいた不良仲間の呼び出しであった。

俺は携帯の指示通りに商店の脇道を通り人気のない路地裏に足を踏み入れる。

俺は不良仲間から携帯に楽しいことができるからと呼ばれたのだ。

コツコツ

俺は人気のない店と店の通路を通り路地裏に出る。


「っ!?。」


俺が目にしたのは傷だらけでボロボロになって蹲る学生服の少年と。女子高生だろうか?制服の袖が乱暴にはだけ。胸の肌の一部がこぼれていた。女子高生は震えていた。みた感じどうやら傷だらけでボロボロに蹲っている少年の姉のようだ。蹲る少年には少し見覚えがあった。校内で苛めを自慢していた不良仲間の苛めの対象者であった。何度か苛めや恐喝されていたところを遭遇している。

現状みて弟の苛めに耐えかねた姉が苛めた不良相手に直談判しにきた口だろう。

弟を懸命に守ろうとしたが不良達の力になす統べなかったようだ。

姉である女子高生は脅えた様子で俺を凝視していた。新たに来た不良仲間に自分が何されるか想像したのだろう。

不良仲間の1人は俺の顔を見ると下卑た笑みを浮かべ。つり上がった醜悪な口でお前も入れよ一緒に楽しもうぜと誘ってくる。


「········。」


俺はじっと姉弟を見ていた。

虚ろな眼差しを晒し。全てに諦めを宿す光のない瞳であった。


そして俺がとった行動は········


バギッ!

俺は1人の不良の頬の拳を打ち付ける。

咄嗟の出来事に他の不良仲間もなす術はなかった。

俺は拳を次々に頬、腹、顎、不良仲間に何度も打ち付けた。


「ひっ!やめ!バキッ」


殴られた不良仲間は地べたに倒れる。

被害者である少年とその姉は呆然とその光景を見ていた。

どうやら俺にも良心と言うものかあったらしい。不良仲間の顔を何度も打ち付け。顔がぐちゃぐちゃに崩れるほどまで打ち付ける。


「君!何をしているんだ!?。」


通りかかった警官に俺は取り抑えられた。不良仲間は全治1ヶ月間の怪我をおい。暴行事件を起こした俺は少年院に入れられると思われた。しかし裁判で俺のとった行動は乗除酌量の余地ありと言われ。少年院ではなく地球教育機関、アースエジュケイションという組織の預かりどころとなった。アースエジュケイションは宇宙に幅を利かせた若者達の教育育成を担う組織らしい。俺はそこで異星文化更正教育ブロクラムというものを受けることとなった。何でも素行の悪い若者を全く違う文明、違う環境、違う人種に預け更正させるという異種更正教育ブロクラムらしい。環境が変われば人も変わるという安直な理由らしい。その教育の始まりは何でも魚に詳しい博士の発案からだそうだ。

俺の親は少年院に入れられないことをとても喜んでいた。俺としては少年院に入れられるほうが良かった。何故なら少年院には俺より強そうな悪がごまんといるからだ。喧嘩に事欠かないし。それに俺を楽しませる程のスリルあるからだ。だが、宇宙の別の惑星に行くという言葉にも俺にとっては魅力を感じていた。宇宙旅行が普通に行われている現代。それでも宇宙旅行は金持ちがするのが殆んどで。宇宙に行ける機会など滅多にない。それに宇宙には俺のしりえない未知のスリルが味わえるかもしれない。


俺は手錠をつけられ。宇宙空間を宇宙輸送船で輸送されていた。隣の席にアースエジュケイションの監視者に付き添われていた。暴行事件を起こしたのだから一応犯罪者扱いとなるようだ。

俺は口許が緩く笑みをこぼしていた。旗からみたら不気味がられるだろうが。それでも受け入れ先にどんなスリルが待ち受けているかとても待ち遠しかった。


「大分嬉しそうだな。」


アースエジュケイションの監視者は俺の笑顔に表情を変えずに問いかける。


「ああ、他の惑星にいけるんだ。きっと獰猛な宇宙生物とか強そうな異星人と喧嘩できると思うと笑みが止まらないよ。」


俺は素直に感情をさらけだす。


「そうか···、なら残念だったなあ。お前の受け入れ先はスリルというものに縁のないところだ。」

「ああっ?。」


アースエジュケイションの監視者の一言に大翔は不機嫌にガンを飛ばすように睨む。

監視者は大翔のガンにも微動だにせず語りだす。


「お前の受け入れ先の惑星は村も町もないほのぼのとした大自然に囲まれた惑星だ。住人も二人だけだ」

「大自然?、ならサバイバルを味わえるじゃないか?。」


都会でなくても大自然というのなら危険な生物がいても可笑しくはない。


「いや、その惑星は植物だけだよ。生物はいない。危険な植物も生物もいない。惑星に生える植物は全て人工的に植えられたものだ。住人は植物好きな変わりものでな。」

「ちょ、何だよ!。それ!?。」


俺は絶句する。

折角宇宙に来れたのに。危険な宇宙生物や強そうな異星人と喧嘩できないなんて割りにあわない。


「残念だったな少年、お前の受け入れ先は私から見てもつまらんぞ。」


アースエジュケイションの監視者はニンマリと勝ち誇った同情の笑みを浮かべる


「くっ。」


大翔は悔しそうに唇を噛む。

受け入れ先である大自然の惑星の情報に大翔激しい憤りを感じた。


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