第26話 大華連邦、惑星破壊兵器『五芒星』
先の剣星系における戦闘により
これまでの一連の艦隊戦により、皇国、大華連邦、スラビア共和国の艦隊戦力がその他列強諸国と比べ、大きく低下していた。特に、大華連邦の艦隊戦力の低下は自国の領域の大きさから言って危険なレベルであり、過去武力併合した星系国家や周辺属国などが動揺している。
そして、過去に大華連邦により武力併合されたとある星系内の惑星において、ついに大規模な反乱が起こり、現地行政府が最新式の武器で武装した反乱軍に降伏。反乱軍は大華連邦からの独立を宣言した。
大華連邦政府は、この反乱を鎮圧するため、なけなしの強襲揚陸艦の派遣を決定していたのだが、予想以上のスピードで、現地行政府が反乱軍に降伏してしまったため強襲揚陸艦の派遣を取りやめ、今後のことも踏まえ、さらに強硬な手段をとることを決定した。
大華連邦宇宙軍、無人特殊艦『
ここは『五芒星』を回航した軽巡洋艦の中央指令室内。
同乗した内務省の担当官が艦長に指示を出した。
「それでは、観測機を出した後、『五芒星』を
「全観測機射出、目標
「全観測機射出完了しました」
「『五芒星』発進せよ。目標、
「『五芒星』発進! 最大戦速まで加速」
『安全回路を閉鎖しますと、一切の制御が不能となります。「五芒星」安全回路閉鎖まで30秒、29、……、3、2、1、「五芒星」安全回路閉鎖しました』
中央指令室内に、機械音が響いた。
『
『
12000キロの直径を持つ惑星の場合、『
被害半径内の河川などの水層では表面が一気に蒸発することで巨大な水蒸気爆発が発生し、海洋ではさらに大規模な水蒸気爆発が起こることで巨大津波が発生する。
さらに爆心点では、巨大な大穴が出来る。
爆心点からの距離が4000キロからその先数千キロの範囲では、真空地帯となった直接被害半径内に向け突風が吹き、地形も含めてあらゆるものが薙ぎ払らわれる。その突風も波のように何度も寄せては返し、文明の痕跡を跡形もなく消し去り拭い去る。
反乱惑星の住人約3億の生活圏は、首都およびその周辺に集中していたため、首都直上での『五芒星』の爆発により一瞬にして全住人の99.9%の人命が失われた。
爆発により、惑星大気の10%ほどが宇宙空間に吹き飛んだが、水蒸気や有害ガスなどで補完されたため、気圧の低下は目立ったほどではない。発生した水蒸気により惑星の大気は急速に厚い雲に覆われ、雷鳴を伴った大雨が地表を打ち、今度はあらゆるものを洗い流していった。
この爆発により、惑星は人にとって非常に住みにくい環境になり、最初の爆発による高温の放射線と衝撃波から生き残った0.01%の住人も2時間後には人知れず死を迎えている。
『五芒星』の爆発からの一連の惑星の生活圏の破壊を逐一記録した観測機がやがて惑星の衛星軌道を離れ飛び去っていった。
大華連邦は惑星破壊兵器の使用を記録動画とともに連邦内に発表した。この情報を
一次活発化していた大華連邦外周領域の反政府運動・独立運動についても、テロなどの発生件数も激減し大華連邦政府の思惑通り沈静化したかに見えた。
[あとがき]
宇宙空間での核爆発がそこまで威力があるものなのか、核融合がそもそも暴走するのかというご指摘もあるでしょうが、そういうものだと思ってください。
核融合により高速中性子などが発生し、重金属ダンパーが破壊される過程で有害放射性物質が生成されると思いますが、表記は割愛しました。
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