第59話 決して飼いたいとは思わない。

 街の南東角。


 スラムとまではいかないが、あばら家が建ち並ぶ狭い通路を抜けると、鉄格子の重そうな扉があり、そこは地下水路に繋がる階段の入口となっている。


「心当たりがもう此処しかなかったけど、正解だったな」


 そう、ブルースライム討伐の最後の心当たりとは地下水路のことだった。


 スライムが魔力だまりに生まれるのであれば、此処にいてもおかしくはない。


 地下水路は定期的にEランクの冒険者によって魔物が依頼によって討伐されているらしいが、少なくとも僕がこの街にきてからは、そういう依頼は見ていない。


「近いようで、なかなか辿りつかないもんだな……」


 せっかくなので、地下水路で他のブルースライムより明らかに魔力の多い個体に向かっているが、ここは細い2本の通路の真ん中が幅4mほどの水路になっており、轟々と水が流れている。


 そして通路が入り組んでいるせいで、迂回を余儀なくされ、なかなか行きたい反応の場所にたどり着かない。


 なんとも煩わしい。


『マスター?飛んでしまえばいいのでは?』

 そんな中、ポシルから念話が入る。


『はっ!・・・・・・・』


【瞬移】【瞬移】【瞬移】


 はい。

 3回で辿り着きました。

 優秀な従魔は、優秀な秘書ナビのような存在ですね。


「……さてと」


 冗談はこの位にすべきだろう。

 それは何故か?


 目の前には明らかに、冗談で済まない個体が鎮座しているからに他ならない。


 ロットブルースライム


【Name】ー

【age】10

【Lv】 57

【HP】 4200/4200

【MP】 400/400

【力】 10

【体力】 2200

【器用】 390

【知力】 20

【素早さ】20

【魔力】 160


【スキル】

 ユニークスキル

 吸収(同族)


 ノーマルスキル

 腐蝕<Lv7> 分裂<Lv5> 吸収(水・腐敗物)<Lv5> 水魔法<Lv4> 闇魔法<Lv4> 魔力吸収<Lv3> 衝撃耐性<Lv6>


 通常ノーマルスライムは、ペットになるほど可愛らしい外見をしている。


 ツルっとした体にプルプル震えるその姿はとても愛らしい。


 でもこれは駄目だ。


 ぐじゅりぐじゅりと音を立て、体のそこかしこで何かガスの様なものが膨らんでは弾けている。


 そして、だからこそのこの腐臭。


「これはちょっとまずいかな。こんなもんが地下水路にいる時点で、この街大丈夫か心配になるな……」


 確かに大きい魔力を感じここまで来たが、これは素材集め云々を抜きにしても、今討伐しないと駄目な奴だろう。


『ポシル。今回の敵はポシルの天敵に近い。たぶん吸収されるからこちらには来ないで、地下水路の別のブルースライムの回収をお願い。姿は見せずに念のため回復効果の高い薬を精製して退路に置いといて』


『マスター。そちらから最初の角を曲がった通路に薬を数本置いておきます。お気を付けて』


 こっちだって、この一週間なにもただ遊んでいたわけではない。


 それなりに今あるスキルの基礎を反復し、スキルレベルと実践経験値のギャップを埋める訓練をしてきている。


【Name】 タカヤ

【age】 18歳

【職業】(1.魔術師・暗殺者(転移者) 2.自由人 )3.魔物使い

【Lv】 23

【HP】 460/460

【MP】 3520/3820→3980

【力】 170

【体力】 135

【器用】 175

【知力】 145

【素早さ】245

【魔力】 320→345




【スキル】

 ノーマルスキル

 剣術<Lv5> →<Lv6>斧術<Lv1> 棍術<Lv1> 弓術<Lv2> 格闘<Lv2> 盾術<Lv3>気配察知<Lv5> 気配遮断<Lv4> 採取<Lv4> 回避<Lv3>

 身体強化<Lv3> →<Lv4>魔力操作<Lv2>→<Lv3> 魔力感知<Lv2> 魔力還元<Lv3>

 全属性魔法<Lv4> 解体<Lv2> 罠回避<Lv2>

 モンスターテイム<Lv2>

 麻痺耐性<Lv4> 打撃耐性<Lv3> 斬撃耐性<Lv2> 威圧<Lv2> 豪腕<Lv2> 統率<Lv2> 連携<Lv2>



 レベルこそ上がっていないが、体がスキルに引っ張られる感じは前よりも減った。


 剣術スキルも、少し上がっているので試してはみるが、このロットブルースライムには剣術は全く無意味だろう。


 体全体に違和感を感じ、頭だけ横に全力で逸らす。


 その瞬間先程まで頭があった。

 いや正確には眉間のど真ん中の場所に水の塊が飛来する。


 器用さ300overは、伊達じゃないようだ。


 そのまま後ろの壁にぶつかった水塊は、壁を貫通し直径3cmほどのトンネル状の穴を開けた。


「危ない。腐蝕液を水魔法で飛ばしたな」


 魔力感知・気配察知・回避のスキルを、フル活用してやっと避けられるレベルの攻撃。


 素早さはあくまでも、移動の速度に影響する。今回の様な固定砲台タイプの的に対しては、全く参考にならない。


 次々と飛んでくる腐蝕水によるウォーターボール。

 通常のウォーターボールに分裂のスキルにより、自らの体の一部を混ぜて飛ばしているため、通常の魔法攻撃よりも段違いに発動も射速も速い。


「ちっ【火弾】」


 腐蝕液のウォーターボールを避けながら、ロットブルースライムに向かい火弾を撃ち出す。


 しかし、着弾した火弾は蒸発した様な音を出したがその体に飲み込まれ、ロットブルースライムの魔力として吸収されてしまった。


「やっぱり直接の魔法はダメか。ならば!」


 ロットブルースライムの真上の天井に向かい土弾を撃ち出し、降り注ぐ瓦礫に時空魔法で重力を一気に掛け瓦礫の雨を降らせる。


 小さい瓦礫も重力が加わったことで、弾丸の様に降り注ぎスライムの体に無数の穴を開けていく。


「やったか!」


 盛大なフラグを立てる中、砂埃が消えていく。

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