第48話 オークの災難

 ポシルBの戦闘が終わって30分程経っただろうか。


「ブモォォ ゥゥォーォォ……」


 弱々しく最後の鳴き声を漏らし、前のめりにオークCが倒れる。


「あっ 。あっちも終わったみたいだね。ドーピングが弱かったから少し長続きしたみたいだ」


『はい。攻撃を貰うのが目的でしたので、過度なドーピングはせず最低限の回復に留めています。そろそろこちらも終わらせます。お待たせしました』


 どうやら、ポシルAが本体のようで、ポシルCについて念話が届く。


 本体以外は自我はなく、ポシルAの意思に従っている。

 本体のポシルAも最後の状態異常をオークAに与え、HPが0になるのを待っていた。


 オーク※猛毒 麻痺 盲目 睡眠 混乱

【Name】ー

【age】4

【Lv】 17

【HP】 2/700


【スキル】

 ノーマルスキル

 毒耐性<Lv3> 麻痺耐性<Lv3> 盲目耐性<Lv2> 睡眠耐性<Lv2> 混乱耐性<Lv2>


 虫の息のオークを鑑定すると、この短期間で驚くべき耐性能力を得ていた。


 どれだけの状態異常を繰り返したらここまでの耐性を得るのか、自分では絶対にやりたくない。


 軽く身震いを感じながら観察していると、すぐにHPが0になりオーク3体との戦闘はポシルのLv上げという体を成して終了した。


『マスター。お待たせしました今回のオークはお許しを頂いた通り、全て吸収し糧にさせて頂きました。ありがとうございます』


 3体のオークを吸収し、1体のポシルへと戻ったポシルが肩の上でゆらりと体を揺らす。


 今回の戦闘は本当に満足できたようで、スキルのLvも驚きの成長を見せていた。


 オリジナルスライム♯定着

【Name】ポシル

【age】0

【Lv】14

【HP】 882/1292→882/1682

【MP】 457/1155→457/1265

【力】 363→402

【体力】 287→311

【器用】 202→244

【知力】 194→215

【素早さ】213→223

【魔力】 259→271


 状態異常攻撃<Lv1>New

 ※攻撃に状態異常を付加する。状態異常を与える生成物の効果を上げる。状態異常耐性を打ち消す。効果はLvに依存する。

 毒耐性<Lv1>New

 麻痺耐性<Lv1> New

 盲目耐性<Lv1> New

 睡眠耐性<Lv1> New

 混乱耐性<Lv1>New



 分裂体LvUP<Lv3>→<Lv4>

 魔力操作LvUP<Lv1>→<Lv3>

 魔力感知LvUP<Lv2>→<Lv3>

 衝撃耐性LvUP<Lv3>→<Lv4>

 硬化LvUP<Lv3>→<Lv4>

 薬生成LvUP<Lv3>→<Lv5>


【スキル】

 ユニークスキル

 吸収

 迷彩化


 ノーマルスキル

 分裂体<Lv4> 魔力操作<Lv3> 魔力感知<Lv3> 衝撃耐性<Lv4> 全属性耐性<Lv2> 硬化<Lv4>

 薬生成<Lv5> 念話・念映<Lv3>回避<Lv2>心眼<Lv2>毒耐性<Lv1> 麻痺耐性<Lv1> 盲目耐性<Lv1> 睡眠耐性<Lv1>

 混乱耐性<Lv1>


「ご苦労様ポシル。命令通りスキルレベルのUPに注力してくれたんだね。ありがとう」


 ポシルに礼を伝えるついでに、何点かレベルの上がった経緯を確認する。


 魔力操作、魔力感知はわかるが、耐性系がよくわからない。ポシルは魔石を吸収してもスキルを得ることは出来ないはずなんだけど。


 でも確実にオークを吸収したからだよな...。


『はい。魔力操作は、薬生成の際魔力を与えることで薬の効果が上がるので、最適な魔力に調整する為多用しました。魔力感知は回避や攻撃を貰う際オークの纏う魔力を感知しながら戦っていた結果です。各耐性はご想像の通りオークAを吸収した際、耐性を超えるほどの状態異常オークを吸収した結果耐性を得ました。要は超猛毒の肉を食べて耐性を得た。という感じです』


「感じです。って!そういう事か〜。あんなにHP減ってるからおかしいと思ってたんだよ。耐性を超える状態異常肉か。僕が食べたらお陀仏だね。無理しないでね。ポシル」


『はい。マスター』


 攻撃耐性 魔法耐性 状態異常耐性 ポシルが最強の盾となって行く。まぁこれからの旅の安全の為に必要な事だ。


 今回の戦闘は非常に有意義なものだった。

 ポシルから吸収せずに、とっておいて貰った討伐証明の右犬歯を3つ貰う。


「これで依頼は達成だね。クイートに帰ろうか」


『はい。マスター帰りましょう』


「うん。でも帰る前に試しておきたい魔法があるんだよ」


『試しておきたい魔法ですか?』


「うん。【瞬移】の魔法。覚えた当初は数mが限界だったからね。あれからだいぶステータスもスキルもLvが上がったし行けると思うんだ」


 当時MPも魔力も低く、時空魔法すら覚えていなかった。


 つまりほとんど補正の効かない状態での魔法だったが今なら様々なスキルで補正がつく。


 ちなみにこれが当初の【瞬移】関連ステータスだ。


【Name】 タカヤ

【age】 18歳

【職業】(1.魔術師(転移者) 2.自由人 )3.魔物使い

【Lv】 8

【MP】 1690/1690

【魔力】 190


【スキル】

 ノーマルスキル

 魔力操作<Lv1> 魔力感知<Lv1> 魔力還元<Lv1>


 そして現在


【Name】 タカヤ

【age】 18歳

【職業】(1.魔術師・暗殺者(転移者) 2.自由人 )3.魔物使い

【Lv】 23

【MP】 3820/3820

【魔力】 320


【スキル】

 ノーマルスキル

 魔力操作<Lv2> 魔力感知<Lv2> 魔力還元<Lv3> 全属性魔法<Lv4>


 時空魔法は統合され、より強力な全属性魔法に。

 MPも魔力もほぼ倍、魔力関連スキルも上がっている。


 これなら以前のような数mの移動だけで枯渇するような事はないはずだ。


 目を閉じ限界の移動距離を探る。


 先程のゴブの集落まで移動距離で10Km弱、直線で6〜7Kmくらいだろうか、あまり迂回せずできる限りまっすぐ進んだ為そこまでの誤差はないが、どうやら行けるようだ。


 ポシルにモンスターBOXに入って貰い、意識を集中。ゴブの集落のゴブリンシャーマンの部屋をイメージする。


【瞬移】


 一瞬にして体が消え、風景が一変する。


 そこは確かにゴブリンシャーマンの小屋であった。


「よし成功だ」


 ポシルをすぐにモンスターBOXからだす。


『ここはゴブリンの集落ですね。無事成功されたようですね。おめでとうございます』


「うん。ありがとう。MPもだいぶ余裕があるし、10数キロ以内の一度行った場所、もしくは目に見える場所なら瞬間的に移動できるかな」


 MP 820/3820

 今回は6〜7Kmの移動だったが以前よりMPの減り方はかなり少ない。


 これなら移動がかなり便利になる。


「でも問題があるんだよね」


『問題……ですか?』


 そうこの魔法は致命的な弱点がある...。

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