されどサドルと悟れども
五月タイム
短編1/1話
日本庭園に面する窓から飛び込んできた野良猫が大暴れしたことで早々に本日の活動を終了する羽目に遭ったのは、地方都市の端っこにある第百五十三高等学校にある由緒正しき部活動、西洋お茶会部である。
日がまだ十分な高度を保っている時間にあって
お互いに微妙な距離を保ち、その距離感を楽しむ余裕のない2人は、ぎこちない言葉で先ほどの出来事について言い交わしていた。どの部活も練習やなんかの真っ最中であるこの時間帯、駐輪場に
と、そこで目にしたものとは――同じ学年の
そこで我に返ったのは他の誰でもないその生徒だ。バッと頭だけを回転させて2人に向け、息を細く吸いながら「ぁー……っ」と甲高い声を上げ、そして恵美の自転車ごと向こう側へ倒れたのち慌てて起き上がって「ああぁぁああーっ!」と叫びながらどこへともなく走り去った。
再起動したのはどちらからだったか、それは誰にも分からないが、最初に声を出したのは恵一郎だった。
恵美の中で、本能を揺さぶる電撃的な
隣で脳内暴走した友人にどうにか追いついた恵一郎は、月に届けと跳ね起きたそいつの位置を直しながら、
恵美はガバッと跳ね起きると瞳を大きく見開いて「えぇぇえええっ! そっち!?」などと突っ込み返す。恵一郎はどこにそんな反応となる要素があるのか分からないまでも、嫌な展開を危機感というべきほどに感じつつ「なんだよそれ……?」と
さて、そんなこんなで奇妙なところから2人は恋の炎を胸に
されどサドルと悟れども 五月タイム @satsuki_thyme
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます