最終章 誕生 第4話

 合流した四人には、記者のインタビューが待っていた。


 今日の主役は彼らである。記者の取材を優先させて、個体の計測や処理はワイルドライフマネージメント社のスタッフが行った。


 その様子に気づいた松山が、手伝おうとしたが、黒澤が取材を優先させてくれた。


「凄いね。どんな感じで撃ったのかな」

 と質問する記者が一番興奮している。


 発砲した順に答えた方が良いだろうと、坂爪が撃った順に話してあげてと計測しながら、アドバイスしてくれた。


「はい。下流に四頭という無線でシカが来るであろう場所に銃を向けて待機していました。四頭を確認して、最初の一頭が沢に下りたところで一発目を撃ちましたが、ほぼ正面から心臓を狙いました。


 次いで、二頭目は驚いてちょっと立ち止まった感じでしたが、同じように心臓を狙って撃ちました。後の二頭は、滑り落ちて行く二頭を追うように下流へ走って、見えなくなりました」


「なるほど。僕が対岸から見たとおりだね。心臓を狙ってということだけれど、それほど冷静に狙えるものなの」


「はじめの頃は、シカを狙ってとしか言えませんでしたが、射撃練習を重ねることで撃つ前の余裕がもてるようになりました。今、坂爪先生が計測しているのとその隣が僕が撃った二頭です」


 そう言われて記者が個体を確認すると、二頭とも喉元に射入口があって、心臓を撃ち抜いて脇腹から弾が抜けている。


「凄いね。二年でこんなことができるようになってしまうんだ」


「はい。先生方に厳しく教えられましたから」

と言うと、


「優しく教えたろう」

と計測中のスタッフから声がかかる。


「次に撃ったのは」

との記者の問いかけに、


「私です」

と瀬名が答えた。


「松山君の方向で発砲音がしたので、四頭は私より上流へ出たのだとわかりました。発砲音のあと、沢の中を二頭が下ってきたので、先頭を撃ったあと、二頭目も撃ちました。


 もし、私が失中しても下には坂爪さんがいると安心していたので、余裕があったのが良かったと思います」

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