第7章 インターンシップ 第18話
翌日、学校へ行こうと準備をしていたときに、携帯が鳴った。
着信番号は、株式会社丸山調査の代表番号からだ。
「はい。後田です」
「後田君ですか。丸山調査の丸山です」
「おはようございます」
丸山社長からの直接の電話だった。しかも、役員面接の翌日の早朝というタイミングは後田を驚かせた。
「だいぶ良い勉強ができたようだね」
「はい。二年前は失礼しました。お陰さまで、充実した二年間を過ごすとともに、多くのことを学ばせていただきました」
「そう。それは良かった。それでは、来年からその学んだことを我が社のために役立ててください」
「はい。ありがとうございます」
「では、詳細については、総務課長から改めて連絡があると思いますが、来年度の君の活躍に期待しています。では」
「はい。ありがとうございました」
そう言うと、電話は先方から切られた。
学校に到着すると、まずは同級生の柴山と松山に報告した。
すでに進路が決まっている松山は、
「あぁ、良かったな」
と、まだ進路が決まっていない柴田を気にしてか、やや控えめな反応だった。
一方、大学からの同級生でもある柴山は、
「良かったなぁ、後田!」
と肩をバンバンと叩きながら、喜んでくれた。それが、俺に気を遣うなという彼なりの優しさであることは十分にわかっていた。
瀬名も、同級生の就職内定を心から喜んでくれている。
その後、教務を訪ねて担任の小沼を通じて、全職員に伝えてもらった。外部講師の黒澤らは、明日の講義で来校するが、直接連絡するようにとのことで、ワイルドライフマネージメント社へ電話で報告することになった。
「はい。ワイルドライフマネージメント竹山です」
「学校の後田です。おはようございます。黒澤部長さんをお願いします」
「はい。少々お待ちください」
「はい。黒澤です」
「おはようございます。学校の後田です。本日、丸山調査の社長さんからお電話をいただきまして、来年から我が社で頑張ってくれと言われました。いろいろとありがとうございました」
「そう。良かったね」
「はい。学校の先生方からも、直ぐに連絡するようにと言われましたが、お仕事先へ電話ですみませんでした」
「いやいや、嬉しい情報は早い方が良いからね。これで、松山君、後田君は決まったわけだね」
「はい。あとは瀬名さんと柴山です」
「そうだね。明日の講義の時にでも、彼らと話してみましょう」
「はい。よろしくお願いします。ありがとうございました」
「はい。それではまた明日」
黒澤への報告も済ませすると、ようやく後田には実感が湧いてきた。
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