第4章 練習 第7話

正直、松山の自動銃がどんな構造になっているのかが知りたくて、柴山は自分の課題よりもそちらの方が気になっていて、一瞬松山に遅れた。


「よし。では松山君、やってみてください」


「はい、では分解します」


 というと、松山はまず先台の先端につているキャップを回しはじめた。カチカチという音のあとにキャップはスムーズに回転し先台の先端から外れた。次いで、先台を銃身に沿って銃口の方へスライドすると先台が外れた。


「へぇ~、自動銃の先台ってそうやって外すんだ」と柴山がつぶやく。後田は、アウトドアサークルにいた仲間が自動銃を使っていたので、その仕組みは知っていた。


 次に、銃身を握ると、これも銃口の方へ動かすと銃本体から銃身が外れた。


 声には出さなかったが、「へぇ~」という思いで柴山は松山の作業を見ていた。


 その後、松山も後田と同じように、点検しながら結合して、元の銃架に戻した。


 柴山は、すでに終了して気楽になった二人から若干冷やかしの眼差しを感じながらも、無難に終了した。


 最後に残った瀬名は、一番緊張していたし、譲り受けた銃がまだ新しく、分解するのに少々手間取ったが、なんとかやり遂げることができた。


「OK! みんな上手だね。じゃ、ちょうどお昼時だから、昼食にしてから練習しましょう。じゃ、テーブルの周辺を片付けて、スタッフのみんなを呼ぶから」


 そういうと、射面で練習しているスタッフに向かって、「キリの良いところで、お昼にしましょう」と声をかけている。


 四人は、周辺を片付け、スタッフ全員が着席できるように椅子を動かして、スタッフが戻るのを待った。


「お疲れ様。どうだった、山里の指導は」


 と話かけてきたのは、黒澤部長だった。


「はい。丁寧に教えていただいています」と後田が、そつなく返事した。


「この先生は、厳しいからなぁ。頑張れ!」


 と口元に笑いを浮かべながら黒澤は言ったが、その笑いに含まれた意味をまだ四人は知らなかった。


 食事中は、各人の銃に関する話題で盛り上がった。


 ワイルドライフマネージメント社のスタッフは、基本的に現場で使う銃と射撃練習用の銃の二丁を所持していて、山里はそこにライフルを二丁さらに所持しているとのことだった。


 いずれも、もし故障した時、仕事に支障が生じないようにということで、射撃銃でも用途欄には狩猟と有害鳥獣駆除が記載されているとのことだった。


 一番、多くの銃を所持していたのは、坂爪で上下二連が二丁、水平二連が一丁、ライフルが一丁、空気銃が一丁ということで合計五丁を所持しているとのことだった。山里も最近までは六丁だったが、後輩に散弾銃を一丁譲ったとのことで五丁だった。

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