第3章 入学 第7話
そこからは、夜の更けるまで、松山の父親の狩猟体験や射撃のことなどを四人で語り明かした。
途中で、松山の父親が、「今年の猟期に俺が仕留めたイノシシの肉なんだけれど」と言って、ショウガ焼きを出してくれた。
松山は普段から食べ慣れているし、柴山と後田も猟期中にシカ肉やイノシシの肉をアパートに持ち帰ることもあったので、抵抗なく食べることができた。そればかりか、血抜きが上手だったのかとても柔らかく臭みのない美味しい肉だった。
「美味いです」
「本当、俺たちが獲ったイノシシと比べると、臭いもないし、とっても美味しいです」
「そうかぁ。まぁ、一緒に猟をしている人の中にお肉屋さんがいて、すぐに処理しているからかなぁ」
「へぇ~」
「お肉屋さんがいるなら、もうお任せですね」
「そうだな。いろいろと肉の取り扱い方も教えてもらっていて、勉強になるよ」
「どんなことを教えてもらっているんですか」
「あぁ、一番勉強になったというか、驚いたのは、肉を絶対に水に入れるなってことかな」
「えっ!そうなんですか」
「僕たちのところでは、直ぐに肉を冷やすために沢に浸けちゃうんですけど」
「俺も、昔お世話にないっていたグループではそうだった。だけど、今お世話になっているところではやり方が違うんだ。まずはしっかりした血抜き。
それから、なるべく早く解体。水に入れると、肉の表面にヌルヌルした感じがでるだろ、あれが肉の評価を下げることになる。
それに、体重八十キログラムもある肉の塊を沢の水に入れたところで、そうそう冷えるものじゃないしね。解体して小分けした方が、冷えるのも早いってことだ」
「へぇ、確かに小分けすれば表面積が大きくなるから、冷えるのも早くなるわけだ」
「なるほど。今まで、沢の水に入れて冷やすものだって思い込んでたな。捕獲方法と同じで、ここにも科学が必要だね」
「そうだね。」
最近、松山の父親がお世話になっている大物グループでは、世話役の人が射撃指導員ということもあって、射撃について教わるようになっているとのことだった。
その人は、ライフルの名手らしいが、昔はヤマドリ撃ちが専門でヤマドリが少なくなったことから、大物猟へと転向したとのことだった。
射撃練習は、スラッグ射撃で行うことが多いようだが、ことあるごとにスキートの練習をしろと言われるらしい。
以前、山里にもスキートで練習すると言われていた柴山と後田は、そのあたりに興味をひかれた。
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