放課後


「そんなにおっぱいが好きなんですか?」

「はい、大好きです!」


文芸部の部室で、俺と優依は二人きり。


優依はパイプ椅子に座り、俺は優依の正面一メートルほど離れて、床に正座している。

優依はスカートが長いので残念なことにパイプは見えない。


けど、ちょっとだけ優依の太ももが見える。ポジションが最高だ! 見えそうで見えない。興奮するね!


スカートの中を見るために、首を動かしたくなるけど、我慢だ。


「……私、以外のおっぱいも?」

「…………」

「沈黙は肯定と受けとります」


答えに詰まると優依に追撃された。

ええい、覚悟を決めるか。


「お、恐れながら、申し上げたい義がございます」

「聞くだけ聞きましょう」


流れるように土下座すると、優依は小さく溜め息をついて、そう言ってくれた。


「おっぱいランキングに参加したのは、優依のおっぱいがランキングに入っていないか確認するためです」

「……続けて」

「結果的に優依はランキングに入っていなかったけど、その場の空気がランキングに入っていない、隠れおっぱいは居ないか? と言う感じだったから、つい話題にしやすい相葉のおっぱいを話題に上げてました」

「はぁ……、私が小学生の頃から変質者の被害にあったことは知ってますよね」


噂ではあるが、誰々が痴漢にあった。とか、性的な話は意外と出回るものだ。大半はガセではあるが。


「はい……」

「けど、発育が早かった相葉さんは小学生の頃から胸が大きく、私以上におっぱいへの性的被害者なんです」


ヤバイ、優依がガチトーンだ。

俺の見てる限り、優依は女子生徒と仲が良い訳ではない。けど、おっぱいが原因で何かしらの不利益を被っている女の子には共感している。


「相葉さんは、勝ち気な性格。でも、コンプレックスの胸が多くの男子生徒から性的な目で見られていると自覚するのは、とても辛いことだと思うよ」

「…………はい」


悲しみが混じった声色に俺は居たたまれなくなる。


やばいなぁ、怒ると言うよりは、悲しんでるなこれは。


「今度、相葉さんに謝って」

「は、はい、必ず」


俺が床に額を付けて謝ると、優依が深呼吸する呼吸音が聞こえた。


「じゃあ、もう頭を上げてください」

「はい」


俺が頭を上げ、優依と目が合うと何気ない感じで俺に聞いてきた。


「ところで、睦月さん」

「何だ?」

「睦月さんの校内おっぱいランキングを教えてください」


「…………え?」


俺は目が点になった。

この子、何を言ってるの?


「おっぱいソムリエの睦月さんが、おっぱいランキングで相葉さんに五点を付けたのは分かりました。他の注目のおっぱいを持っている人は誰ですか?」


待って! 何でおっぱいランキングの投票方式知ってるの? あ、おっぱいランキングは、一人持ち点は合計十点で五人まで投票して良い。点数の配分は好きにしていい。一人だけに投票しても良いし、五人に二点ずつ分けても良いのだが。


「結構派手にしていましたから、耳の良い子は知ってますよ。相葉さんとか運動部の子達は運動部の男子に近いので、気をつけていたみたいだけど」

「マジか……」


迂闊だぞアイツ等。怒りが湧いてくるが、ジッと俺を見詰めてくる優依から、はよ言え。と言う圧力に涙目になりながら、自分なりの優依以外の校内おっぱいランキングを発表させられることになった。


名前を上げて、そのおっぱいの何処が好きなのか説明させられ、説明が進むにつれて優依の機嫌が悪くなっていく。


最後には優依は涙目になり、俺は彼女以外のおっぱいに目を向けていたことへの罪悪感で死にたくなった。



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