放課後デートしてみたい
放課後デート。それは学生服を着た状態で家に帰る途中に恋人とデートをすることだ。
少女漫画でも良くある、帰りに軽食を買って「一口食べる?」みたいなやり取りをするアレだ。
ハッキリと言えばリア充しか出来ないことだ。
ぶっちゃけ、平凡なオタクの陰キャ系の俺と優依の二人で、リア充な生徒がひしめく駅前とか学生が行くようなちょっとお洒落なファーストフード店に行けない。
いや、行けなくはないのだ。ただ、クラスメイト達に見つかると言うだけで。
「クラスメイトに見つかるのは、やはり恥ずかしいか?」
放課後の文芸部の部室で、ソファに並んで左腕を優依におっぱいサンドしてもらいながらら、俺が確認のために問いかけると、優依は少し悲しげに頷く。
クラスメイト達に茶化されるのは、俺も嫌だ。
けれど、少女漫画を見ていた優依が「放課後デート……」と少し寂しげに呟いたのは、やはり憧れがあるのだろう。俺も彼女と放課後デートはしたい、だが立ち塞がるのは、リア充共の目と発言だ。
リア充当人達は何気無い一言だが、尾鰭が付いて言われた側は酷い目に会うことが多い。
特にオタク系の陰キャは、高確率で学校内の社会的評価を下げることになる。
仮に「あの二人付き合ってるらしいよ」とか言われれば、周りから必要のない気を使われたりする。
俺と優依は付き合ってるから良いが、お互いがなんとも思っていない場合は大迷惑だし、仮にどちらかの片想いなら、大抵は変に意識し出して、上手く行かない。
オタクな陰キャ系な俺達にとって、放課後デートは、リスクのあるモノだ。
だからと言って、やらないのも負けた気分だし、優依とデートはしたい!!
「優依は駅ビルのショップとか行ってみたいか?」
「…………行ってみたいとは思うけど」
俺の問いに難しい表情で考え込む優依。
まあ、俺もどんな所か行ってみたいとは思うけど。リスクを犯して優依と行きたいか? と問われると。
「でも、何か一緒に食べてみたい。それと……」
「ん?」
「て、手を繋いで……街歩きたい、一緒に」
恥ずかしそうに、俺の腕に寄りかかりながら、俯く優依を俺は思わず抱き締めていた。
「……よし、ちょっと遠回りになるけど、駅前の北側にある店を見てまわろう。南側は生徒が多いから、移動ルートも少し回り道して」
「駅の北側、行ったことないけど、お店あるの?」
優依の言葉に、俺はあれ? と思った。
「北側にアニメショップがあるけど、行ったことない?」
「うん、ネットで買うから」
それに、店員と話すの苦手。と優依は言った。
「なら、今から行けば、時間に余裕があるから、ショップにも行こうか?」
「いいの?」
「ああ、それにデート先がアニメショップって、オタカップルらしいだろ?」
「うん、それっぽい」
俺の言葉にはにかむ優依。
「あ、けど、デートで最初に行く場所がアニメショップはアレか、先に何か食べてから行くか?」
「え、うーん……、先にショップがいい」
「分かった、それじゃあ、少し回り道して、初の放課後デートをしようか」
俺がそう言うと優依はしっかりと嬉しそうに頷いてくれた。
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