第73話 難敵襲来

佐倉中央のメンバーは全員で円陣を組んだ。

後藤「ここまできたら、後悔しないでやりきろう。不完全燃焼はダメだ。リタイアした4人は無事復活して、明後日には見に来れるそうだ。そいつらの為にも、そして暁月のためにも絶対に勝ち進もう!」

「おーーー!!!」

佐倉中央のスタメンは以下の通り。

GK:1 夏海

CB:2 光

CB:13 真希

LSB:20 仁美

RSB:3 飛鳥

DMF:6 マヤ

DMF:8 亜紀

LMF:10 つかさ

RMF:7 かれん

OMF:9 桃子

CF:11 千景


ベンチ入り

12 愛子 14 花 16 柚月 17 梨子 18 伊織 19 雛 22 咲


ベンチ外

21 瑞希


光「緊張しているか?」

仁美「ええ、少しだけ。」

光「前につかさがいるから気兼ねなくやれ。」

仁美「分かりました!」

最近はDMFが多かった仁美は美春と悠香、樹里の居ない状況ではSBに定着せざるを得なかった。前半は白鶴ボール。

主審が笛を鳴らすといきなりシュートが飛んできたが、夏海は易々と止めて足でコントロールしている。

夏海(警戒しておいて損はなかったわ〜。)

シュートを放ったのは夏合宿で危険人物としていた蓬莱であった。ボールを拾って前線に大きくパントキックを飛ばした。先に桃子が触って飛距離を伸ばし、千景がつかさにパスした。しかし、つかさがトラップするや否や一気にボールが掻っ攫われた。RWBの3番、国光だ。マヤが遅らせようと前に立つがあっという間に抜き去られてしまった。亜紀が体を入れて光にバックパスを送るが、それに追いついて光の股を抜いた。すかさず仁美がフォローに入って大きくクリアして難を逃れた。

光「助かったよ。あいつも要注意だな。」

国光(私の速さについて行ける奴はいない。ただ、ボールと身体に間ができるとダメだな…)

蓬莱がボールを持つと今度は左サイドを使って攻撃を仕掛けてきた。マヤとマッチアップしたのはLWBの5番、磯江。シュートフェイントや足捌きで時間を使っている。

飛鳥「マヤ!相手のフォロー入ってる!」

気づけば佐倉中央陣内で白鶴の最も得点機会の多いフォーメーションが完成していた。磯江はタイミングをズラすと蓬莱にパスを出して蓬莱は光を背負いながら徐々に前へと運ぶ。そして磯江が蓬莱の前を横切る時にパスを出す。

真希(スルーした!行かなきゃ!)

しかしそれは罠。ぽっかり空いた真希の裏のスペースにくるりと反転した磯江がチップキックでボールを出して、FWの岩渕がフリーのままペナルティエリアに侵入した。

夏海(一か八か!)

飛び出した夏海はボールに向かったが、岩渕は左に展開して夏海を躱した。そしてそのまま無人のゴールにシュートを放つが、ポストに弾かれてラインを割った。佐倉中央としては命拾いをしたという思いでいっぱいだった。

真希「すみません。周りが見れてなかったです。」

夏海「私も抜かれちゃったわ。」

光「次からは慎重に行こう。ボールに行くよりもゾーンマークの方がいいかもな。」

蓬莱「あそこで決めないでどうすんの?本当にあり得ないから。」

つかさはその光景を黙って見ていた。

その後も佐倉中央は押される展開が続いたが、先程の失敗を踏まえてエリア内からのシュートを極力無くす守備に徹した。

蓬莱(チッ…ビビりやがって…。)

フラストレーションの溜まりつつある蓬莱はそれを振り払うかのようにボールをトラップすると、すぐにミドルシュートを放った。

真希(間に合って…!)

何とか足を伸ばしてコースを変えるが、ボールは夏海の予想していない方向に飛んでしまう。

しかし、また命拾いするかのようにボールはポストに弾かれて光が大きくクリアした。

蓬莱「あぁもう!クソがっ!」

地面を蹴って蓬莱は悔しがった。

光(あいつ…自分の思い通りに全てが進むとでも思っているのか…?)

佐倉中央はなかなか攻撃に転じることができない。4分につかさが1本シュートを放ったのが最後になっていた。

つかさ(両WBからの突破はかなり厳しそう…だけど中央突破もかなりリスクがある…でもどこかに必ず穴があるはず!)

守備の穴を見つけるよう桃子と千景とかれんに伝えた。

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