第6話対成田東高校

翌日。対成田東高校前のベンチにてスタメンが発表された。スタメンは以下の通り

GK 1 夏海

CB 2 光

LSB 3 飛鳥

RSB 5 悠香

DMF 6 マヤ

DMF 8 亜紀

LMF 14 花

RMF 7 かれん

OMF 9 桃子

ST 11 千景

CF 10 つかさ


つかさ『私スタメンですか!?』

後藤『あぁ。初陣で見せつけてやれ。あんたはうちのストライカーなんだからな。』

後藤はつかさの背中を軽く叩き、フィールドに送り出した。スタメン全員で円陣を組む。

悠香『とりあえず一発目、絶対勝つ為に積極的に縦に送るわよ!』

花『つかさ、ハットトリックするつもりでやっちゃって!』

かれん『私達がとびきりのクロスを送るからつかさちゃんはしっかり合わせてね。』

夏海『光ちゃんと私の守りは破らせないよ』

飛鳥『開いたスペースのカバーはしっかり』

マヤ『とりあえず、前2人は私たちで潰す』

亜紀『無駄なファールは避けようね。』

千景『何点でも抜かりなくね!』

桃子『つかさ!じゃんじゃん決めちまえ!』

つかさ『頑張ります!』

光『よし!佐倉中央!勝つぞ!』

全員『おう!』

主審『じゃあFW同士、握手とジャンケンして下さい。』

つかさ『よろしくお願いします。』

菊池『あら、一年生?10番なんて付けちゃって。相当期待されてるのね。』

つかさは軽く会釈してジャンケンをした。

主審『それじゃ、成田東ボールで40分1本を始めます。』

主審の笛がなった途端、成田東のFW2人がいきなり攻め上がってきた。

菊池(見せつけてやろう。私たちの怖さを)

田辺(まあ、余裕よね。いつもので)

しかし、それは空想にしか過ぎなかった。

7mほど進んだところで桃子がインターセプトをして速いボールで光に戻した。

光『走れ!』

その瞬間光はかなり高めのロングボールを出した。ボールを胸で受けたのは千景。千景はそのまま細かい足捌きで四人を引き付けてヒールパスで桃子に渡した。桃子はペナルティエリアに侵入すると、豪快に右足を振り抜いた。しかし、GKの真正面に飛んでしまいキャッチされてしまった。

飛鳥『カウンターよ!』

その瞬間、成田東のGKが既にパントキックをして、DF陣も上がり始めていた。最初にボールを触ったのは亜紀で、ヘディングで前に送り出した。だが桃子、千景、花、かれんはオフサイドで動けなかったが、走り込んできたつかさがトラップした。DF陣はオフサイドだろうと止まって手を挙げるがつかさは相手GKがキャッチした瞬間に自陣に戻る動きをしていたため、副審の旗は当然上がらない。つかさとGKの1対1の形が出来た。ゴールまでの距離は30m近くある。GKは前に走り出していた。遂につかさとGKがマッチアップした。つかさはステップオーバースルーでGKを抜いたが、なんとGKはつかさの足を掴んで転ばしたのだ。当然主審が笛を鳴らす。桃子と千景がGKに詰め寄る。一発レッドでもおかしく無かったが、主審はイエローカードを提示してかなり厳しく注意した。

花『つかさ、大丈夫?』

かれん『怪我はない?』

つかさ『大丈夫です。転んだだけですよ。』

ゴールまでの距離はさしずめ24mといったところ。

桃子『つかさ、蹴るか?お前が獲ったファールだからお前の足で決めてやれ。』

つかさ『ありがとうございます。キッカーは桃子さんが務めてください。私はゴニョゴニョ…。』

桃子『なるほど、了解!』

桃子はボールをセットした。成田東の壁は6枚。中のマークは3枚。つかさはなぜかハーフウェイラインまで戻ってきた。

悠香『あれ?攻めないで戻ってきたの?』

つかさ『いえ、見てればわかります。

主審の笛が鳴らされた。その瞬間つかさが全速力で走り出した。桃子は蹴るフリをしたので壁の6人は全員飛んだのだ。その瞬間にボールを後ろに戻した。走り込んできたつかさが右足のアウトサイドで振り抜いた。ボールは一度は枠を大きく外れたが、一気にカーブしてゴール右隅に突き刺さった。考えられないシュートに成田東の選手は全員唖然としていた。つかさは左サイドのラインまで走り、その向こうにいる佐倉中央のサポーターに向かって小学校の時のゴールパフォーマンスであるハートマークを送った。その直後、後ろから桃子が抱きついてきた。千景、花、マヤと続き最後には光と夏海以外の全員が祝福しに来ていた。自陣に戻ると光と夏海からはグッドポーズが送られた。

田辺『なによ!単なる偶然で!』

菊池『まあ、すぐに入れ返してやろう。』

主審が笛を鳴らす。するとその瞬間、菊池はキックオフシュートを放った。シュートはゴールに向かって伸びていく。

夏海(こんなシュート、つかさちゃんのに比べたら何ともないわ。)

夏海は易々とシュートをキャッチした。アンダースローで飛鳥に渡すと、飛鳥は一気にスピードを上げた。

田辺『ちょっ!何よあの速さ!』

飛鳥は元々陸上部で中学校の時県内最速を叩き出したこともあるぐらいの俊足だった。そんな県内一位の速さの飛鳥を止められるDFはいない。あっという間にペナルティエリア近くまで辿り着き、クロスを上げた。しかし、GKが簡単に取れそうな低いボールだった。GKはキャッチしようと前に出たが…キャッチする1m前でつかさがダイビングヘッドを決めた。

つかさ『ナイスクロスです!飛鳥さん!』

飛鳥は自陣に戻りながらつかさの頭を撫でた

前半7分で既に2-0。成田東は全体的にフラストレーションが溜まって来ているようだ。パス回しが雑になり、ラフプレーが多くなってきた。その間につかさが5人をかわしてシュートを放ちハットトリックを達成した。前半10分のつかさのハットトリックを皮切りに佐倉中央は得点ラッシュだった。14分に桃子が直接フリーキックを叩き込み、16分に千景がコーナーキックを合わせ、19分に桃子がGKを嘲笑うようなループシュート、20分に花のクロスが直接ゴールネットを揺らし、成田東はFW2人以外全員を交代したが、勢いは止まらず22分に悠香もフリーキックを直接決め、25分に光がコーナーキックを合わせ、27分に飛鳥の速さであっという間にシュートを決め、28分に千景がキーパーをヒールリフトで抜き去り豪快なボレー、30分につかさがドライブシュートで4点目をもぎ取り、31分に桃子が花のシュートをGKが溢したのを見逃さず詰めてハットトリックを達成して、34分に千景も鮮やかなカーブシュートでハットトリックを達成した。さらにマヤと亜紀とかれんも1点ずつ追加して40分1本で佐倉中央のフィールドプレーヤーは全員得点して17-0というあり得ない点差が開いていた。これがハーフだったらどうなっていただろうか。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る