第4話部内激戦

ピンクチーム:GK夏海、CB光・樹里、SB悠香・飛鳥、DMFマヤ・亜紀、OMF桃子、SW花・かれん、CF千景

緑チーム:GK愛子、CB雛、SB仁美・真希DMF柚月・伊織、SW咲・美春、OMF梨子、CFつかさ・瑞希


後藤『それじゃ20分1本始めるぞ!』

笛が鳴らされた。ピンクチームは様子見で自陣でボールを回し始めた。

真希『ライン上げちゃってもいいよ。距離詰めよう。』

緑チームはボランチがハーフウェイラインまで上がり、FWとSWはボールを追い始めた。

すると、ピンクチームの花と桃子の間でのボールがイレギュラーになった。そこにSBの仁美が詰めようとした時、桃子が体を入れてボランチのマヤに軽く落とし、マヤは速いボールで花にスルーパスを出した。

仁美(さっきの練習と全く同じ状況だ。だけど、さっきみたいな危ない守備はしない!)

仁美はすぐに追いかけて花がクロスを上げる瞬間にボールを蹴り出した。しかし、緑チームのピンチはまだ続き、コーナーキック。キッカーは桃子。ニアサイドに花、中には千景、樹里、亜紀。ファーサイドにかれんがいる。ペナルティエリア外ではマヤと悠香が溢れを狙っている。桃子が蹴ったボールは弧を描き中へ入った。キャッチできないと見た愛子は誰が合わせるかに目を光らせている。

愛子(千景さん?樹里さん?亜紀さんは無さそう。それとも誰かクリアしてくれる?)

ボールは雛がバックヘッドをしたが、ファーサイドにいるかれんの足元に行ってしまった。かれんがクロスを上げようとしてるのを見た雛は

雛『ライン上げて!』

と呼びかけた。オフサイドトラップだ。かれんがクロスを上げた時に中にいた四人と桃子はオフサイドの位置。

愛子(ナイス雛。これでやすやすと…)

しかし、その瞬間、誰かが猛烈なヘディングシュートでボールはゴールに吸い込まれた。なんと、最終ラインにいたはずの光が飛び出して来ていたのだ。

光『ナイスクロス!かれん!』

愛子『まさか、これを見越して?』

光『いや、オフサイドトラップは予想してなかった。単に2回目のクロスがあったら飛び込もうとしていただけさ。』

仁美『ごめん。完全にキャプテンは見えてなかった。』

雛『まだ一点よ。取り返せるよ。』

真希『ええ。そのためには私たちも攻撃参加をしようね。』


ボールが中心に置かれた。

つかさ『瑞希、キックオフ蹴ってくれない?ゆるいインサイドキックで私にパスをするつもりで。それでさゴニョゴニョ』

と耳打ちをした。

瑞希『え!?分かった、やってみるよ。』

瑞希は言われた通り緩いインサイドキックでつかさにボールを渡した。するとつかさはいきなりシュートを放ったのだ。フィールドにいたつかさと瑞希以外の選手は誰も予想だにしない攻撃に衝撃を受けていた。

光『夏海!ドライブシュートだ!気を付けろ!』

夏海『どこに落ちる!?』

つかさが狙ったのはゴール右端。夏海もなんとか反応して手を伸ばして当てた。

夏海(お、重い!回転はそんなにかかってないけど、威力がハンパない!)

そして、夏海の手に当たったシュートはバーに当たりワンバウンドした。そしてつかさの作戦を聞いていて上がっていた瑞希が落ち着いてトラップして右足でゴール左へ流し込んだ。予想だにしない攻撃だったが、緑チームは瑞希の初ゴールを祝福していた。その後は点の取り合いだった。8分に千景がPKを獲得してゴールを奪い、その3分後にFKをつかさが決めて同点。その1分後に桃子が豪快なボレーシュート。その4分後には真希がコーナーキックを合わせて同点。そしてラストワンプレーは緑チームのコーナーキックだった。キッカーはつかさ。中には真希、瑞希、雛、咲、伊織、梨子の6人がいる。

つかさ(誰かが合わせてくれればいいけど、さっきのキャプテンみたいなのは出来ないし、バナナシュートは多分止められるし…。フリーの人は…あ、いた!)

つかさはグラウンダーの速いクロスを上げた。狙ったのは、ペナルティエリア外で溢れを狙っていた美春。

美春『え、えぇえぇえ!?ちょっと!どうすれば!?えぇい!ままよ!』

美春はボールを擦り上げて巻いたシュートを打とうとしたが、中途半端な高さしか当たらなかったが、そのボールは飛鳥の腕に当たった。鋭く笛が鳴る。

飛鳥『みんなごめん!』

光『大丈夫さ。故意じゃないからな。』

夏海『止めてみせるわ。』

飛鳥はガックリと項垂れている。

つかさ『咲、蹴ってみない?』

咲『え!?私!?大丈夫かなぁ…?』

美春『大丈夫よ。失敗でも同点だから』

咲『やってみるよ。』

咲はボールを受け取り、セットする。

夏海(え?この子、初心者なのに左利き?)

咲は走り出した。咲の左足のシュート…ではなく右足のトーキックでゴール左へ流し込んだ。トリックPKだ。予想外の出来事に夏海も一歩も動かなかった。そして試合終了の笛が鳴った。4-3。旧スタメンがまさかの敗北だった。コート整備や片付けが終わった後の集合で

後藤『次の日曜日、成田東高校、成田南高校を招いて練習試合を行うことになった。練習期間は残り3日しかないが、頑張ってくれ。明日はユニフォームの採寸も行う。』

咲『ユニフォームも配られるんですか?』

後藤『ああ。新しいユニフォームだ。』

全員の顔が綻ぶ。

後藤『採寸があればすぐに作ってくれるらしい。多分土曜日には渡せると思うぞ。番号は2、3年は昨年までの活躍、1年は期待値で選ばせてもらうぞ。少しでもいい番号が欲しい やつは練習を頑張ってくれ。』

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る