『36』 鉄壁のバリケード

        1つ前のページ⤴『29』



「この串、見たことありませんか?」

「そ、それは……」

「これは、トイレの先にあるバックヤード。ゴミ庫のゴミ袋の中にありました。それも、扉のウラに隠されるように」

「それはごくろうさまね。でも、その串が何だって言うの? そのダンゴを私が食べたっていう証拠なんてないでしょう?」


 ぐぬぬ。

 確かに。

 五指越さんがトイレに行かずに、トイレの方向へ歩いて行った。行き先はおそらくバックヤード。そして、紛失していたUGDの串はバックヤードのゴミ庫の中で発見された。

 状況証拠は彼女が犯人であると物語っている。しかし、彼女が犯人であるという決定的な証拠はなかった。


「もう言うことはないのかしら。私を犯人だと決めつけた数々の無礼、キレイさっぱり水に流してあげるわ。もう話しかけてこないでね」

 冷たい視線が突き刺さる。あぁ、穴があったら入りたい。

 今度は俺が黙るしかなかった。

 しかし、そう簡単に諦めるわけにはいかない。


 何か、ないだろうか。



 ▶決定的な証拠の手がかり番号+『36』のページへ

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る