『55』 美脚の持ち主

        1つ前のページ⤴『19』



「……こんにちは」

 茶髪の女性は無言で会釈をした。

 彼女のことは知っていた。五指越ごしごし 真消まき。今最も美しい美脚を持つとされる女優だ。レースクイーンやラウンドガールなどのイベントコンパニオン時代から注目され始め、人気に火が付いた。最近まで隠していたが、実は大手の清掃会社の令嬢だったことが判明し、バラエティにも引っ張りだこだ。美容系のCMに抜擢され、今回俺たちが見に行く舞台『回転城の呪い』にも長女役で出演する。俺も隠れファンである。

 ファンであるということを、彼女には隠しておかないといけない。探偵が事件関係者に恋をしてはいけない。正常な判断が鈍ってしまう。

「私は探偵をしています、厭生 弗篤といいます。このたびのダンゴ盗難事件を軽く調べさせていただくことになりました。二、三、質問させていただきますが、よろしくお願いいたします」

「えぇ。わかりました。どうぞよろしく」

 彼女が足を組みなおす。それだけで視線はそちらに向いてしまう。

 いかん。俺は探偵。美脚などに目をそらしてはいけない。真実を見定めなくては。



◇選択肢

 ・ダンゴの注文について→『18』ページへ



 ・同席の男女について→『38』ページへ


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る