第2話第1班隊員 全10名

「「マイナスゼロ」の隊員は、お前を含め全部で

10名だ。全員は、今基地に居るから紹介しよう。」



基地というのは、警視庁の地下にある。


暗いとか汚いと思うのは偏見で、割と綺麗な基地だ。


コンピュータやら衣服やらが並んでる。


角の小部屋には、武器庫もある。



「お前ら、ちょっとこっちに集まってくれ。」



「キルア」がそう言うと、続々と集まってくる。


男しか居ないのかと思ったが、そうでもない。



「今日から、我々「マイナスゼロ」に配属された

「シスト」だ。」



「京井・・・「シスト」です。よろしくお願いします」



桐兎が自己紹介をすると、隊員は笑顔で拍手した。



「改めて、、俺が警視庁公安部特殊暗殺部隊

第1班隊長の「キルア」だ。よろしく」



元軍人の「キルア」は近接戦闘が得意であり、


去年隊長に就任したばかりだが、キルアが隊長に


就任してからの、「マイナスゼロ」の働きは


格段にレベルアップした。


「マイナスゼロ」は、現在全隊員が、20代で


構成されている。


「キルア」は、最年長ではないが隊長だ。


実力者であるのは、間違いない。



「じゃあ、次は俺だな。」



そう言ったのは、随分と長身な男だ。



「俺は、「ガロウ」だ。歳はこの中で1番上

だが、おじさん扱いすんなよ。」



「ガロウ」は、元ボクシングチャンピオンだ。


相手選手と喧嘩になり、問題を起こして


引退したが、実力が目に留まり「マイナスゼロ」に


スカウトされたのだ。



「お前、随分と華奢な体だな。

俺が鍛えてやるから、いつでも言え!」



「ありがとうございます。よろしくお願いします」



桐兎は、苦笑いをしながら挨拶をした。



「次は、私が自己紹介するわ。」



細身な女性が、桐兎の前に来た。



「私は、「ナゴモ」よ。よろしく。

男ばっかで、むさ苦しい場所だけど、あなたは

可愛い顔してるじゃない。大歓迎よ。」



「ナゴモ」は、元女優をしていた。


と言っても、売れなかったらしいが……


演技は、上手いのだが人間関係が上手くいかなかっ


たのだ。辞めようか迷っていたところ、


元第1班隊長が、直々にスカウトしたそうだ。



「次は、僕がする。」



そう言ったのは、随分と若く見える男だ。


男と言うよりも「男の子」の方が、いい気がする。



「僕は、「ガレキ」。見た目はこんなんだけど、

君よりは、歳上だからね。」



「「シスト」は、数年前に警視庁のデータベースがハッキングされ、ノックリストが盗まれた事件を知ってるか?」



「キルア」が言っている事件とは、



「確か、「皇帝」と言う未成年ハッカーが

起こした事件ですよね。まだ捕まってないはずですが、、」



「その「皇帝」が、「ガレキ」だ。」



「ガレキ」が起こした事件は、警視庁の管理能力


が低いと問題になったが、逆に目に留まり


逮捕ではなく、「マイナスゼロ」で働くと言う


罪の償い方になったらしい。



「君のスマホは、ハッキングしないから大丈夫」



冗談で言ったのだろうが、桐兎は寒気がした。


バレないようにと、引きつった笑顔を見せた。



「私は、「フィア」です!歳が1番近いので

なんでも、聞いてください!」



随分と小柄な、小動物のような女性だ。


「フィア」は、元々警察官で交通安全課に


配属されていた。人とすぐに仲良くなれる、


コミュニケーション能力の高さを評価され、


去年、「マイナスゼロ」に配属された。



「僕の方が、歳下なのでタメで話してください。

よろしくお願いします。」



「フィア」に差し出された手を、桐兎は


優しく握った。



「俺は、「ストラ」だ。

俺の方がイケメンだから、そこんとこよろしく。」



桐兎は、苦笑いで会釈をした。


「ストラ」は、元ホストだ。


お客さんと揉めて、クビになったところを


「マイナスゼロ」に拾われたらしい。



「俺は、「ボクテ」だ。よろしく。」



「ボクテ」は、東大を卒業しており、


頭の良さから、前職は探偵をしていたらしい。


殺人事件に、関わった際に警察署から賞をもらい、


その功績から「マイナスゼロ」にスカウトされた


のだ。



「俺は、「ジグイ」だ。」



「ジグイ」に差し出された手を、桐兎は握り返す。


「ジグイ」はジークンドーの達人であり、


戦闘では、「キルア」に負けを取らない実力だ。



「君は、何かやってるのか?」



「ジグイ」が質問すると、



「カリアーニスの武器術です。」



桐兎が答えると、何人かは、何かに納得したように


頷いていた。



「そうか、よろしく。」



「私が最後ね。「アグマ」よ。よろしくね。」


「アグマ」は、スナイパーである。


幼少の頃から、イギリスでスナイパーとしての


訓練を受けてきたらしい。


その腕は、本物で「マイナスゼロ」には必要な


人材である。



「よし、全員紹介できたな。「シスト」

なんか質問あるか?」



「キルア」の言葉に、桐兎は首を横に振った。



「大丈夫です。これからよろしくお願いします。」



桐兎は、隊員に向けて頭を下げた。



「じゃあ、みんなは仕事に戻れ。

「シスト」には、言い忘れてたことがあったんだ。ちょっと来てくれ。」



「キルア」に言われて、桐兎はついて行った。


連れて行かれたのは、会議室のようだ。


椅子に腰掛けると、「キルア」が話し始めた。



「俺は、最初の説明で「国が決めた対象者を秘密裏に処理する」と言ったんだが、詳しく説明すると、すぐに対象者を処理するわけではないんだ。

書類上に、凶悪殺人の履歴が残っていても、人の

性格は、もちろん生活の全てが書いてある訳では無い。国は、書類だけを見て対象者を決めるんだが

我々が、調査し更生の傾向があると判断された

者は、対象者から外されるんだ。

今までに外された者は、誰もいないけどな……

なので我々の任務には、「一応」調査も

含まれているんだ。

お前を含め、俺と「ジグイ」「アグマ」「ガロウ」は、暗殺を実行する者。

他の「ガレキ」「ボクテ」「ナゴモ」「フィア」「ストラ」は、調査をする者だ。」



桐兎は、納得した。


初見でも、「フィア」や「ストラ」などに


暗殺者というオーラを、全く感じられなかったからだ。



「人の性格は、そうそう変わるものでは無いが、

稀にいるんだよ。そういう奴には、生きて欲しいと思ってるみたいだ。国もそんなに鬼じゃないってことだ。」



そう言うと、「キルア」は席を立った。



「今日は、もう帰っていいぞ。

お前の初任務は明日からだから、帰って休め。」



「ありがとうございます。お疲れ様でした。」



桐兎は、家に帰って来たが、疲れが出たのか


ベットに入りその日は、そのまま眠りについた。





























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