第25話ノクターナル
「畑中が出て来たぞ京也」
「あのチンピラ。中目黒のタワーマンションなんかに住みやがって」
二人は、金田からの情報で畑中のマンションを突き止め、待ち伏せていた。
マンションの入り口付近で、黒塗りのベンツに乗り込もうとした畑中に、二人はすかさず声をかけた。
「すいませーん。ちょっとお尋ねしていんですが」
「あ?なんだお前ら」
その様子を見て、運転席に居た畑中の部下が出てきた。
「おいガキ!邪魔じゃボケ!」
そう言って車から出てきた瞬間、花道が上から振り下ろすようなフックのようなパンチを畑中の部下にいきなり食らわすと、それを見て驚く顔を見せる畑中の首の後ろに、京也が空手の上段回しゲリのようなキックを入れ、畑中はそのまま地面に崩れ落ちて気絶してしまった。
「お、おい…お前ら…俺らが誰だかわかってんのか?」
辛うじて目を開けている部下の男は、膝まず来ながら言葉を発したが、それがやっとの様子だった。
「知ってるよ。興腺会のチンピラだろ?」
「な、なんだと…」
「いや、ただのロリコンのオッサンやでこいつら」
「な、なに…」
京也は、畑中の襟を掴み上げ、車の後ろのドアを素早く開けて、気絶している畑中を席に乗せた。
花道も、畑中の部下を運転席に強引に乗せ、素早く助手席に乗った。
「おい、車を今から言う所に走らせろ」
助手席からの花道の言葉に、部下はいきり立とうとするが、それを見た京也は、直ぐにポケットからナイフを出して、畑中の後ろ髪を掴んで切って、部下の膝元にそれを投げた。
「う、うう!?…お、お前ら」
「オッサン、早く車を出すか、俺らのどっちかの無免許運転で行くか、選べや」
「着いたらあんたは直ぐに帰してやるよ。どうせ興腺会には内緒のシノギだから、何にもできないだろうしな」
「…くうっ」
こいつら、ただのガキじゃねえ。
ヤクザもんに二人で来やがって、この状況だ。
それに、ピクシーのことを知ってやがる。
いったいどういう事だ。
「おい!どうすんねんオッサン」
後ろから、運転席の頭の部分を京也に強く蹴られ、部下は観念したように車をだした。
-千代田区公安警察事務所-
「なに!?」
一件の電話が、古林のもとに入った。
「どうしたんですか?古林さん」
「遼、直ぐに現場に向かうぞ!24区側の東京湾で、未成年者女子の遺体が上がった」
「でも、それはうちの管轄じゃ…」
「司法解剖で、その少女の体から薬物が検出された」
「!?…まさか、その薬物は…」
「そうだ、アッシュだ」
-24区-
「しかし、ひっきりなしに僕と同じか下の年の女の子男の子が、ビルの中に入ってくな」
茂は、場所を突き止め、ビルの外観や中に入っていく者達をスマホのカメラに納めたいた。
「場所も分かったし、だいたいの写真は撮れたし、そろそろ帰るか」
と思った時だった。
「おい、お前さっきから何してんだ?」
突然、3人組の男から声をかけられた。
「うっ…」
あからさまに、関係者に見えるその3人組の男達の腕や首辺りには、ドクロとJのアルファベットのタトゥーが入っていた。
「じょ、JOKER…ず」
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