第20話アッシュ4
こ、こいつら…
まさか、中学生にしめられて帰って来ました。
なんて組の者に言える分けねー。
正直に話すしかない。
この二人に、チンケな脅しは通用しない。
ただ、畑中の兄貴にバレた時は…
うう…
「…イセン、パイセン。聞こえてる?」
「うう、その薬は…」
お、話し始めたぜ。
何が興腺会だこのアホは。
中学生二人にシバかれました。
て、どの面下げて言えんだ?
組に言えねーの分かって、ハナから〆にきてんだよこっちは。
雀の脳ミソみたいな頭しやがって。
金田は、諦めたように肩を落とし、話し始めた。
「そ、そっちの錠剤は、アッシュを10倍ほどに薄めて固めた若者向けで、安価に販売されてるものだ」
「それは、ネットで見りゃ分かるよ。こっちは?」
「う、そっちは…ど、どこでそれを」
「パイセン。質問は受け付けてへんで」
金田の襟を掴んで凄む京也の目は、もはや人のものではないように金田には見えた。
お、京也のあの目、久しぶりに見たな。
やつが銀浪と呼ばれる所以、まさに、極寒の地で吠える狼のような目だ。
やつは、沸点に達しそうになると、目の色素が変わる特異体質だからな。
うう…なんだこいつのこの目は…
体が動かねー…
ひ、人じゃねーこいつは。
狼の皮被った、いや、逆だ…
「パイセン」
京也が低い声でそう言った途端、金田は短距離走のスタートをきったように話し始めた。
「そっちはアッシュだ。アッシュはマフィアンコミュニティが扱うドラッグの総称だ。歌舞伎や他のシマで扱っているのは、5倍に薄めたものだ。24区のアッシュは、純度が高く、主にカジノ客やVIP専用で、俺達は取り扱ってない」
「はあ?じゃあ、そのVIPとの区別はどう見分けんだよ」
「24区のパケは皆、透かしが入っている。透かすと、アルファベットのAの大文字が見える」
「へえ…」
京也は、持っているパケを高く上げてみると、Aの文字が透けて見えた。
「ほんまや、入ってるわ」
「てことは、これは歌舞伎のじゃないってことか」
「都内の錠剤は、ほとんどがうちか、渋谷の〝蛭間ファミリー〟か、六本木の〝松方ファミリー〟だ」
「なんやパイセン、だいぶ饒舌になってきたやん」
「あ、そうだ。それでダーカネさんさ。この子の事知らねーかな」
花道は、ポケットから出したスマホの画面を金田に見せた。
「そ、その女は…」
「パイセン、分かりやすくて好きやわ(笑)」
「これ、この子が持ってたらしいんだけど、パイセン知ってるよね」
花道にそう言われると、さっきよりも観念した様子で、金田は話し始めた。
畑中の秘密のクラブ、ピクシーについて。
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