第16話龍神 風間花道
小学校の頃、京也と初めてあった日に
俺達は拳を交わしあった。
その時こいつは、そこら辺のやつとは違う何かがある。
そう思った。
それが何かって言われると…
生まれ持ったもの。
と言うしかない。
以来、京也とつるむようになり、二人で都内の名のある不良達と渡り合うようになっていった。
こいつと二人なら、どんなやつが相手だろうと負ける気はしなかった。
俺の両親も、京也の事をもう1人の息子のように思い接していた。
俺が気が荒いのは多分親父に似てしまったんだろう。
親父は、ここら地元の祭りの連の頭をやっていて、祭りの揉め事があれば、真っ先にとんで行って腕っぷしで解決した。
その親父の背中には、竜の彫り物が入っていて、ある日、その彫り物と同じ柄の刺繍が入った特効服が、タンスの奥にしまってあるのを俺は見つけてしまった。
俺はその、天を仰ぎ空へと昇る竜の目が好きで、こんな風に俺も生きたい。と思うようになっていった。
そんな時、中学に上がってすぐの頃、俺の幼なじみのテルが、些細なことで4、5人の工業高校生に絡まれ、めちゃくちゃ殴り倒された上に、財布を取られて帰ってきたことがあった。
テルは2ヶ月ほど入院する事になった。
俺は直ぐにその学校を見つけて、仕返しに行こうと思ったが、
その頃、京也は母親と実家の神戸に帰っていて、俺は他に相談できるような先輩などはいなく、周りのものは皆尻込みしていた。
相手はあの都内で悪名高い東鉄工業だったから。
俺は、テルに「必ず取り返してきてやる」
そう言って一旦家に帰り、親父の竜の入った特効服に着替え、俺は1人で木刀を持って東鉄工業に乗り込んだ。
当初、俺の頭にあった倍以上の人数を相手する事になったが、俺はズタボロになりながらも全員を血祭りにあげた。その様子を見ていた連中が、そのとき着ていた背中の竜を見て、その竜と同じ目をしていた。と言った事から、俺は〝龍神〟と言う2つ名を持つこととなった。
財布を最初に入っていた以上の中身にしてテルに持っていくと、テルは泣きながら
「ありがとう。花道…」
と言っていた。
京也は神戸から帰って来て、その話を聞くと
「俺がおらへんとき、1人で伝説作りやがって」
と、少し惜しそうに言っていた。
その後、何回か東鉄工業の不良達が仕返しにきたが、やはり、京也が居ると力が何倍にもなるように感じ、向こうの戦意がなくなるまで毎回返り討ちにして、ついには誰も来なくなった。
俺は、京也と二人ならこの世のてっぺんを取れる。なんてガキ臭いことを思ったりしていた。
そんなある時だった。
「花道。面白いやつ見つけたから、一緒に見に行かへんか?」
京也に誘われて着いていくと、そこには沢流明日香と二人のギャルっぽい女子がいて、あの興腺会のチンピラどもを、たった三人で一網打尽にしていた。
「おお!?」
腕っぷしの強さに驚いたのではなく、あの沢流明日香には、何か、ゾクゾクとワクワクさせるものがあった。
それは、初めて京也にあったとき以上のものだった。
あの女は、持って生まれたものが違う。
俺は本能的にそう思った。
京也の場合は、あいつは気づいてないみたいだが、多分、明日香に惚れている。
そこは連れとして応援してやりたいと思う。
学校事態は違うが、沢流明日香に言われるがまま、なぜか俺達もキックボクシングをやることになり、つるむようになって毎日が賑やかになっていった。
中3になった頃、「高校は同じ所に行こう」
と言う明日香の案で、俺達も須賀高校に行く事になった。
京也と真希とカレンは、もう少し上の高校に行けたが、俺はちょうどよかった。
この三年間色んな事があり、地元近辺の不良達はほとんど仲間のようになったり、手下のようになっていった。
俺達流で、知り合ったやつらとキズナを深めて行った結果、知らず知らずにここらではちょっとした集団になっていった。
そして、今日は今日で早速トラブルがあり、仲間引き連れて向かう事になっていた。
高校上がったばっかだってのによ。
本当にあの女は、何でも首突っ込むぜ…
毎日冷や冷やすることもあるが、それ以上に
ワクワク、ドキドキとさせられて。
これはある意味、俺達の望む毎日だったのかもしれない。
そういや、今のところ将来の事とか
何も考えてないけどな(笑)
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