第15話うつし世の幻
「〝月光の会〟だと…そんなバカな…」
※月光の会、それは日本の戦後にできた
五大財閥のトップに位置するもの達からなる会で、その中の1つ神宮寺財閥の本社ビルの最上階で、毎月〝月光の会〟と称して会合が開かれている。日本経済の動向は、この会によって左右されている。
「理事官。この端の男の名は神宮寺響。今現在、月光の会を取り仕切っているのは、実質上この男です」
「…」
古林の話が、よほどショックだったのか、
里崎はしばらく立ち尽くし、また、写真に目をやったあと、ゆっくりとソファーに座った。
「日本の財閥系企業を取り仕切っているのは月光の会。そのひとりがマフィアのメンバーだと…」
「一時、マスコミが都市伝説のように取り上げだ時期がありましたが、今やそのマスコミさえも、マフィア関連の記事は書きたがりません」
「古林さんと調べて行く内に、もっと信じられないことがわかってきました」
「信じられないこと?それはいったい…」
「はい…」
そう言って、夏川は調べた事を順番に話し始めた。
マフィアの資金源や、武器の供給者。
24区に携わったのは、全て財閥系の銀行や建設会社。
それを辿ると、全て神宮寺響にたどり着いたと言う事を。
だが以前として、真壁澪の消息だけは掴めないでいた。
「そうか…。それで納得がいったよ。あんな下町の不良達が、なぜ、この日本を揺るがすほどの組織になったかが」
「はい、これはほんの小さな1つの〝きっかけ〟と言う入り口の鍵で、〝運命〟と言う名の大きな渦を作ってしまった。としか言いようがありません」
「河名も、その都市伝説を追いかけたために、落とし穴が見えなくなっていたのでしょう」
「都市伝説か…。そもそも、あの24区そのものが、〝うつし世の幻〟のようなものなのかもしれないな」
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