第7話東京24区

そう、この沢流総一には家族に秘密にしていることがある。


私を育ててくれた義父の意思を継いで、会社を継ぐ事になったのだが、それはただの投資会社ではなかった。


この日本に、20年前にできた東京24区。

お台場の隣に埋め立て地としてできた土地を、24区目として定め、今やあらゆる世の中の流れがこの24区を中心に動いている。


驚いたことに、その24区を作ったのは国ではなく、日本初のマフィアンコミュニティ

《真王会》だと言う事。

それはあくまで、実質上と言う意味だが。


そして、そのマフィアンコミュニティを作ったのが、大阪の下町で産声を上げた伝説の不良〝真壁澪〟と、その相方〝挫王聖〟。


不良の一本化を掲げ、日本初のマフィア化した組織を作り上げ、全国の極道をあっという間にその傘下に治めるという、もはや逸話を通り越して、神話のような事をやってのけた二人が作り上げたこの24区。

停滞していたIRカジノ法案を強引に通し、この24区にカジノを誘致して、ドバイのベルジュバリファ並のビルを建て、今やアジア一の歓楽街になり、ラスベガスを作ったバクシー気取りのマフィアンコミュニティのボス。〝真壁澪〟

しかし、相方の〝挫王聖〟は、全国制覇を目前にどこかへ姿をくらましてしまった。

死んだという噂も。


「私の意思を継いでくれないか」

義父、沢流明夫の最後の言葉だった。


大学卒業間際に義父に聞いたこの会社は、マフィアのフロント企業だった。


義父の意思を引き継ぎ、私も迷うことなくファミリーの一員なり、一部の者、49人のボスしか〝真壁澪〟には会えないらしく、私は〝真壁澪〟に会うために、24区で様々なシノギを展開し、会社を大きくしていった。

この投資会社を使って、いくつもの中小企業を買収し、マフィアの資金を洗浄したり(マネーロンダリング)芸能プロダクションの設立、若いやつを鍛えるために作った格闘ジムを、そのまま格闘技興業を展開したり、その他、24区の観光会社は全て私がプロデュースしたものだ。


ついに私は、カジノの警備の一部を任される事とになり、そのカジノの利益の一部を受け取れるまでになった。


そう、私はマフィアンコミュニティの50人目のボスの組織のNo.2になったのだ。


もう少しで〝真壁澪〟に会える。


義父が見たがっていた、〝真壁澪〟の顔を見れる。




  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る