第2話JK偏差値
「やったー!パパ、ママ。須賀高校に受かったよ!ダメもとで必死で勉強して、毎日パパがやればできる。って暗示かけてくれたお陰だよ」
「すごい!すごいじゃないか明日香。パパうれしいよ。今夜はお祝いだ」
偏差値45。ま、頑張ることは良い事だ。
元気に明るく育ってくれてるし。何よりもこんなに喜んでるじゃないか。水を指すようなこと言う必要などない。め!総一。
「高校もまた、摩季とカレンと一緒だし。あー、早く入学式来ないかな。JKだよJK」
明日香は喜びながら、スキップで自分の部屋へと入っていった。
またあの二人と一緒か。ギャル予備軍と長身ハーフ顔コンビ。偏差値45。
ま、楽しいならそれでいいか。
それに、さっきから気になっていたが、あれは。
総一は2階の部屋の窓から、カーテンを少しだけ開けて外を見た。
「今日子さん。あのうちの前でさっきから自転車に乗っている二人の男子は、明日香の知り合いかい?」
総一に聞かれ、今日子はキッチンからやって来て窓の外を覗いた。
「ああ、あれは京也君と花道君。明日香ちゃんの同級生で、同じジムに通ってる子よ」
「同じジム?ああ、キックボクシングか。そういやあの時。結局切り替えたのか」
しかし、あの二人はどう見ても。
妻が指した感じから、あの刈り上げオールバックのガタイの良いのが花道で、茶髪ロン毛頭の、さっきから私の視線に気づいて睨むようにこっちを見ているのが京也か。
彼氏?いや、そんな色気のある浮いた話しがある娘だろうか?
あれば、逆に安心するよ。
て言うか、あの二人何してんの?
家の前の道路のど真ん中で、ポケットに手を突っ込んでさ。
さっきから、後ろの車2台が通れなくて、クラクションも鳴らしづらくて困ってるじゃないか。
と、総一が様子を見ていると、先ほどキッチンに戻った今日子が、またこちらにやって来て今度は窓を行き良いよく開けた。
「京也君、花道君。そんなところに居ると、車通れなくて邪魔だよ。家に入って来てお茶でも飲んでく?」
て、招き入れんの家に?
今日子さん。今日は私と言う一家の大黒柱が居たりするんだけど。
妻に声をかけられた京也と花道は、こちらに結構です。といった素振りを見せて帰っていった。
「今日子さん。あの二人は家に遊びに来た事があるのかい?」
「ん?ないよ。ただ、ジムの帰りに明日香ちゃんとよく一緒に帰ってくるの。あの子達はそうね。明日香ちゃんのボディーガードみたいなものかしら」
「明日香にそんなもの要るかな…」
「あれ?総一さん、ひょっとして焼きもち妬いてる?」
「なわけ…」
強く扉を開ける音がして、勢い良く明日香が部屋から飛び出してきた。
「ママー。今、京也とか花道とか言ってなかった?」
「うん。さっきまでそこに京也君と花道君が居てて、家でお茶でもどうぞ。って言ったんだけど、帰っちゃった」
「ふーん。そうなんだ」
そう言って明日香は、2階の窓のガラスに自信の顔をくっつけて外を見ていた。
「明日香。そんなに窓に顔くっつけちゃバッチいよ」
「はーい」
部屋着に着替えた明日香は、そう返事してリビングのソファーに座った。
「そういえば明日香ちゃん。京也君と花道君も同じ高校なんだよね」
「うん、そうだよ」
なに!あのギャル予備軍の二人だけじゃなく、今の二人も同じ高校?
偏差値45…
やっぱり家庭教師をつけるべきだった。
今さら後悔しても遅い。
この子を自由にやらせた一つの結果が、偏差値45だった。ただそれだけの事だ。
こうなったら、なるべく良い大学に行かせるしかない。
寄付金たんまり出して、裏だろうが表だろうが、入ったらこったのものだ。
大手ふって社会に出たら、良い会社に就職して、そこで良い旦那さんを見つけて、そして、良い奥さんになって…
「そっか、この娘もいつかは…」
「パパー、なんか言った?さっきからぶつぶつ聞こえるんだけどー」
「いや、なんでもないよ。春から高校生活楽しみだね」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます