第12話 知らないうちに溜まっていた疲労
「……?」
気付けば私の寝室のベッドの上で靴もコートも脱がされ、手袋もなければ服もかなりラフな物に変えられている。長く眠っていたのか天蓋ベッドのカーテンの隙間からうっすら見えるベランダの向こうの街は夜の世界になっている。
体を起こす気が湧かず、寝返りを打ってみるとノック音がする。
『入るよ?』
「女、帝……?」
「あ、良かった。目が覚めた?医者の話では過度の疲労と睡眠不足じゃないかって……。疲れが取れるまでちゃんと休んでて。何かあったら遠慮なく呼んで!あ……そうだ。時雨ちゃん、字……読める?」
……?
「……一応、読み書きも出来るし学歴も……あるが。……何なら、13か国分の挨拶……して、やろうか。」
「そっか。じゃあ、質問。好きな本のジャンルとかは?」
……本。
「……色々。専門書も……小説も……。……漫画も、読めるがそんなに……。ミステリーや……ファンタジー。SFも……読める。」
「うん、分かった。あ、パソコンも触れる?」
「ハッキング……でも、して……やろうか?」
少しずつ眠くなり始め、ズルズルと意識が引き摺られていってしまう。
それに気付いたのか目を手で塞がれてしまうので余計に眠い。
「お休み。ゆっくり休んでね。」
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