第8話 新しい部屋
ゆっくりと目を開ければ私が閉じ込められていた部屋よりも広い寝室のような物で鏡が板に張り付いた机のような物とクローゼットがある。扉は1つで、どうやら朝らしくカーテンから陽が零れている。
……何が見えるんだろう。
カーテンの向こう側が気になって音を立てないようそっと捲る。1人が座れる広さと壁があり、その先の窓から街が見える。まだ朝日が昇って少ししかしていないはずなのに煙突から煙が上がり、人々が道を歩いている。あの女帝が統治しているとは思えないくらいに平和で、綺麗で、豊かに見える。
カーテンを開けたまま、今度は鏡板付きのテーブルの元へ向かう。引き出しを幾つか引くと髪留めなどが入っているが何に使うかは分からない。
ベッドの下も大丈夫だし……次の部屋……見てみるか。
天蓋ベッドから離れ、扉を開けて次の部屋へ足を踏み入れる。
此方もかなり広い。さっきの寝室よりも広いんじゃないかと思うぐらいに広く、テーブルや椅子もあれば、フカフカしていて大きな椅子のような物もある。
何だ、これ……。
コンコンッ。
「(ビクッ)」
「時雨ちゃん、入る……あっ!おはよう時雨ちゃん!新しいお部屋はどう?」
「え、あ、い、いや……💦」
私を見つけて直ぐに反応速度を超え、瞬きしているうちに抱き着かれてしまった私は逃げようと抵抗するもピクリともしない。それどころか片腕に捕まったまま頭を撫でられてしまう。
「ここが貴方のお部屋♪分からない物とかあったら言うのよ♪」
「し……知らない物……ある。」
「え、そうなの?どれ?」
やっと離してくれるので足軽に寝室まで行き、鏡板付きテーブルを指差す。
「これは鏡台。身だしなみを整えたり、お化粧したりするんだけど、時雨ちゃんは可愛いから要らないかな♪」
またリビングに戻り、フカフカの椅子を指差す。
「それはソファよ。座って待ってて♪」
ポンッと肩を押され、ボフッと言う音を立ててソファとやらに座る。とても気持ち良いし面白い。
「休んでて良いわよ。少し時間が掛かるから。ゆっくり休んでると良いわ。」
スルリと頬に手を添えられ、急激に意識が沈んだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます