「おめでとう物質」

 迷子の宇宙人は、ひとりきりで誕生日を迎えた。

 ケーキなし、プレゼントもなし。故郷の星へ帰る道もまだみつからない。

 UFOの明かりを消して星雲を眺めていると、突然宇宙保健所の船に囲まれた。

『この付近でおめでとう濃度の異常な低下を検知しました! 大変危険なので、今からおめでとうを散布します!』

 ホースから噴射されるおめでとう物質。息もできないほどのおめでとうを浴びてあっぷあっぷとなりつつも、宇宙人は、なんだか少し嬉しかった。

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