第8話 気持ち

彼女の口から出た好きという言葉を、僕は最初疑っていた。でもすぐにわかった。これは本当なんだって。何故なら、りおの顔をみるとその表情は真剣で、三上もまた、真剣な顔をしていたからだ。


「お前まじで言ってんのかよ。俺とは関わりたくないとか言ってたくせに。こいつは・・・。 くそっ 」


三上は悲しそうな表情をした。そしてりおは


「三上にはわかんないよ。あの時だって。なんも変わってないじゃん。嘘つき・・・」


泣いていた。理由も、すぐに想像がついた。

きっと2人は昔付き合っていて、そしてりおは三上を振ったんだと思う。でもそれは嫌いだからじゃなくて、お互いに何かが足りなかったから。 2人でした約束を三上は守ることが出来なくて、おそらくりおは諦めていたんだろう。


「後悔するぞ、お前」


涙と鼻水でぐしゃぐしゃになった表情で三上が言った。


「いいよ」


素っ気なかった。もうりおは泣いていなかった。むしろ清々しい表情をしていた。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。


数分前まで騒がしかったクラスは、まるで誰もいないかのようにシーンとしていた。

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