第2話 あの日

キーン コーン カーン コーン


チャイムが鳴った。時間は午前9時20分。朝のホームルームの時間だ。


「 起立! 礼! 着席! 」


日直の挨拶でクラス全体の雰囲気が変わる。さっきまで騒がしかったのがまるで嘘だったかのようにシーンとなった。


「 え〜とみんな、聞いてくれ。」


担任の先生がそう言うとクラス全体がざわつきはじめた。その日は朝から転校生が来るとみんなが噂していたので、おそらく先生のその一言で察したのであろう。


「 ゴホン。え〜なんと、うちのクラスに転校生がやってきました。前の中学ではバスケ部のエースだったそうです」


バスケ部のエースという言葉でクラスのざわめきは、さらに強くなった。


「 えっと、はじめまして。山田です。山田太郎っていいます 」


おそらくみんなは敬語なんて使わないもっと騒がしい人を想像していたはずだ。でもその期待とは裏腹に転校生は、静かで真面目な印象の男子だった。


「 なんか思ってたのと違くない?‪w 」

「それなぁ〜 なんか期待外れなんだけどw」

「おいおいw お前ら言い過ぎw 」


クラスの人達の反応に戸惑ったのを今でも鮮明に覚えてる。だけどそれだけじゃない。1番忘れられないもの。忘れたくないもの。それはこの後におきる。


でもこの時の俺はまだ予想すらしてなかった。まさかあんなことになるなんて。夢にすら見てはいなかった。

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