第2話

「好きです!付き合ってください!」

「…ごめん。無理」

うぉー、辛辣だなぁ…。

今は帰りの会が終わり、後は帰るだけとなった教室にいる。

告白しているのは、三年生でこれまたイケメンなこの学校の生徒会長だ。

そして告白されているのは、未だ誰にも靡くことはない、僕が仲良くさせてもらっている楓さんだ。

鐘がなったと同時に僕たちのクラスに入ってきていきなり告白をした、というのが今の状況である。

「り、理由を聞いてもいいかな…?」

うわっ、傷口に自分で塩を塗るとは……さてはMだな?

「…あなたに興味がない。誰かも知らないし」

「そ、それならお試しっていうことで付き合っ

 てみない…?」

な、中々往生際が悪いな…。

楓さんの表情も心なしか険しくなっている気がする。

「…ていうか私好きな人いるし」

「えっ……」

楓さんがいきなり爆弾発言をしてきた。

この発言に女子は黄色い歓声を、男子はガッカリしている人達が半分、俺じゃないかと期待している人達が半分といったところだ。

……何だか嫌な予感がする。

楓さんは僕の方を見て、ニヤリと笑うと、

「…零人、行こ?」

いつもは誰にも見せないような可愛さ100%の

笑顔を見せてきた。

今の笑顔で男子が何人か胸を抑えて倒れているが気にしない気にしない。

…い、嫌な予感はこれの事か。

「か、楓さん!行くよ!」

僕は楓さんの手を取り、一目散にその場から逃げた。

今は屋上に続く階段のところにいる。

屋上は今は閉鎖されているので、ここに人が来ることはないだろう。

「か、楓さん!何してくれてるの!」

「…私一人だけ面倒くさいのはイラッとした。

 どうせなら零人も巻き込んじゃおうって」

「ぼ、僕の平穏な生活が……」

「ドンマイ☆」

これまたとびきりの笑顔で告げられる。

…くそう。そんな笑顔で言われたら何でも

許しちゃうじゃないか!

「…それにさっきの言葉は本気だし、待たされ

 てるのも事実」

「ぐっ!」

「零人、さっきの…待ってるよ」

「善処します…」

さっきのとは告白の事だろう。

…僕もヘタレなりに頑張ってるんだけどな。

僕の好きな人は待っててくれるらしいが、僕ももう少しちゃんとしないとな……。

そして、僕は楓さんと一緒に帰るのだった。




____________________________________________




「ねえ、楓さん。これ知ってる?」

「…これって?」

「相性診断アプリなんだけどさ」

僕はこのアプリの詳細を楓さんに伝えた。

「…でも何でいきなり?」

「昨日スマホゲームしてたんだけどさ、あまり

 にも広告がうざくて詳細見てみたら面白そう

 だったから」

「…本当に当たるの?」

「多分大丈夫!芸能人で離婚した人同士診断

 してみたら当たってたし!」

「…うわぁ……」

楓さんがドン引きした目で見てくる。

し、仕方ないじゃないか!もし楓さんと診断アプリをすることになって、結果が悪かったら気まずい気分になるかもしれないじゃないか!

まぁ本当に相性がいいかもわからないけどね。

「…で、どうやってやるの?」

「お互いのフルネームを打ち込めばOKだよ」

「…そのシンプルさも胡散臭い」

楓さんが何か言っているが気にせず打ち込む。

「よし、あとはスタートを押すだけ……

 いけ~~!」

「…ダサっ」

さぁ!何が出るかな!

『診断完了』

「よし!いくぞ!」

『相性10%』

ポチっ

楓さんはすぐにホームボタンを押すと、

アプリをアンインストールした。

「か、楓さ」

「…零人、私達は何も見ていない。いいね?」

「で、でも」

「い・い・ね?」

「はい…」

め、目が笑ってなかった。こわっ……。

それにしても相性最悪か~……。

何か悲しいな。

と、僕が考えていたことを読み取ったのか。

「…大丈夫だよ、零人」

「か、楓さん…」

「…私達の相性は、機械何かに読み取れないん

 だからっ」

少しムキになったような、それでいて安心させるようなその言葉を聞いて、これ以上野暮な事を考えるのはやめにしようと思ったのだった。

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