隣の無口な美少女が離してくれない!

@1ya12ma2to

第1話

「おはよう、楓さん」

「ん………おはよう、零人」 

今、挨拶を交わしたのは僕の隣の席の女の子。

名前は、音無 楓(おとなし かえで)さん。

髪はショートカットにし、目はぱっちりとして

くりくりしており、何より身長が小さいので

物凄く庇護欲を掻き立てられるとのことで、学年一の美少女とか呼ばれている。

見た目の特徴はこれくらいにして………学年一の美少女もとい楓さんは物凄く無口なのだ。

楓さんは仲良くしてもらっている僕が贔屓目抜きにしても物凄い美少女だ。故に、高校に入ったばっかなのに色々な人に告白されて大変だったらしい。

自意識過剰な人やロリコンの人(楓さんは身長の事を気にしているため、そっちの方向の話しは地雷なのだ)、学校でも有名なイケメン達からも告白されて入学早々いい思い出がないとの事。

心なしかいつもよりテンションが低い。

………もしかして。

「楓さん?どうかしたの?」

「……今日も告白された」

「ありゃりゃ。美少女は大変だね」

美少女という言葉に反応したのか、ジト目で睨んでくる。

「…別に告白されたい訳じゃない」

「どんな男子でも可愛い女子とは付き合いたい

 ものなんじゃない?」

「………零人も?」

「まぁ、僕も曲がりなりにも高校生だからね。

 僕と付き合いたい物好きがいるとも考えにく

 いけどね」

「……ふ~ん。私は好きだけど」

「~~~っ!いきなり

 そう言うこと言わないで!」

そう、楓さんはいきなりこういうことをぶっこんでくる。

当の本人は恥ずかしげもなく発言しているので

余計に達が悪い。

「……どうしたの?人無 零人(ひとなし 

 れいと)くん?」

「何故にフルネーム?」

ここで自己紹介しておこう。

僕の名前は人無 零人。

趣味は読書で、特技は人間観察。

この特技を話したら楓さんにドン引きされたのは記憶に新しい。

趣味や特技を聞いてわかる通りに、生粋のぼっちである。

名字が人無だから人が寄ってこないって?

やかましいわ。

………名は体を表すとは正にこのことだな。

そんな事をかんがえるにはやめにして、まず楓さんの話を聞かないと。

「今日はどんな人に告白されたの?」

「…サッカー部のエースらしき人」

「知らない人だったんだ…」

「…告白されて誰?って聞いたら絶句してた」

「ここら辺では有名だったから、みんな知って

 ると思ってたんじゃない?」

「…自意識過剰」

「そういう辛辣な事は言わないであげて…」

楓さんは意外と毒舌な人だ。

僕以外と喋っているところは見たこと無いから

知ってるのも僕だけだろう。

「で、告白はどうしたの?」

「…私がOKすると思う?」

「いや、思わないね」

どうやら今日も撃沈した犠牲者が出たらしい。

サッカー部の人に向けて、心の中で合掌していると。

「…断ったら逆ギレして手出してきた」

「えっ?!大丈夫なの?!」

「…急所を殴ってきたし、そんな気もしたから

 録画しておいた。先生にも見せたし」

「うわ~痛そ~。人は見かけによらないね」

「…ん。ほんとに信用できない」

自意識過剰は時に人を狂わすらしい。

今日も一つ学習できた。

「ちゃんと告白してきた人っていないの?」

「…いなかった。みんな私の外見だけ」

「ふ~ん、勿体ない。楓さんはこんなにも

 面白い人なのに」

「……面白いかは置いといて、私の事を本当

 に理解してくれる人なら付き合ってもいいか

 なって思ってる」

と、そこで僕に視線が向けられる。

…ヘタレに告白は難しいの!

僕は少しの反抗で皮肉を混ぜて言葉を返した。

「そういう人が現れるといいね」

すると、楓さんはマジの方で睨みながら足を蹴ってきた。

…最近の女子ってアグレッシブなんだね。

意外と行動派な楓さんにびっくりしつつ、話を戻そうとすると。

「……早く告白すればいいのに」

「うぐっ!」

「……成功率100%なのに」

「ぐはっ!」

ヘタレで申し訳ございません!

今の会話でもわかる通り僕らはいわゆる両想いというやつだ。

今言ったみたいに、告白すれば絶対に成功なのだろうが、この関係も悪くない(ただ、告白する度胸がないだけ)。

「…ヘタレなりに頑張るから」

「…ん。待ってる」

どうやら、待っててくれるらしい。

僕もいつかは勇気を出さないとな。

これは無口で一途な美少女と、ヘタレな僕が付き合うようになるまでの物語である。







____________________________________________

連載の方が行き詰まっているので、息抜きに書いてみました。

タグにもある通り不定期更新なので(幼馴染みの方が行き詰まれば必然に……)空いた時間や暇な時に読んでいただければ幸いです。

連載の方も引き続きよろしくお願いします!

m(._.)m

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