271_カチンコ
「大好きなお菓子だよ」
「ありがとう。おいしいよ」
「学校は楽しいかい?」
「うん。先生に褒められたよ」
「将来が楽しみだねぇ」
「野球選手になってみせるよ」
簡単に頭を下げるようになりました
今に見てろって気持ちも死にました
愛想笑いだけが得意になりました
誰にも誇れない大人になりました
帰省のたびに、僕は子供を演じる
それくらいしかもうできない気がする
仕方ない気持ちのどこかに
落ち着いている自分がいる
それがまた情けなさを強めていく
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