第6話 きみの物語になりたい : 彼の話

 ――おおとり敦史あつしさんは本作「きみの物語になりたい」が初の舞台ご出演とのことで、今日は色々お話を聞かせていただければと思います。よろしくお願いいたします。

 よろしくお願いします。

 ――緊張、されています?

 わかりますか(笑)。今まで、取材していただくときは他のメンバーも一緒というかむしろ僕が添え物くらいな感じのことが多かったんですが、今日、僕だけなんですよね。とても緊張しています。

 ――そうでしたか。鴻さんといえば、失礼かもしれませんが、グループ内では体を張る担当、のような印象がありますが、今回演じられる役は、いかがですか?

 実際そうですし、それを僕も楽しんでいるので全然失礼じゃないですよ。でも、今回演じさせていただいている役は、全く方向性が違っていて。今まで皆さんに見ていただいていた僕は、やんちゃな面が多かったかと思いますが、今回は静かな役をいただいて、普段の僕とは180度超えて250度くらい違う言動の役で、特に初めのうちは、いかにも「がんばって演技しています」という雰囲気になってしまっていたので、いろいろな方にご指導いただきました。僕きっかけで稽古が延びてしまったことも何度もあって……監督はじめスタッフさんたちにも、共演者の方々にも足を向けて寝られません。

 ――250度くらい違う、と言うと逆に近いところや共通点も見つけられそうな気がしてきますが?

 そうですね。脚本をいただいて、一人で読んでいた時には「こんなに正反対の人を演じられるんだろうか」と思っていたんですが、読み合わせ、稽古と進んでいく中で、他の役と絡む機会を経て、実は違う見方もできるんじゃないか、というところがいくつかあって、それで、いまは、250度くらいの違いかな、と思っています。

 ――110度ではなかったんですね。では、そんな鴻さんの演じられる九曜くようあきらの魅力、見どころを教えていただけないでしょうか。

 暁は、僕にないものをたくさん持っていて、それが僕にはとても大きな魅力に見えています。でも、それだけ僕と違うように見える暁も、僕と同じように悩んでいます。でも、僕とは違う姿勢でそれに対して向き合っています。その悩みが解消するのか、暁がどんな道を選ぶのか、皆さんに見届けていただけたら嬉しいです。

 ――とても気になるご紹介、ありがとうございます。最後に、読者の皆さんに一言お願いします。

「きみの物語になりたい」っていうのは、僕がこの世界でお仕事をさせていただくようになってから、もしかしたらそれよりもずっと前から、いつも感じていたことでした。今回、その言葉を冠した舞台に関わることができること、とても光栄に思っています。観てくださるみなさんの物語になって、みなさんの心の奥底でずっと生き続けていけるような、そんな舞台を作っていけたら、と思っています。劇場でお会いしましょう!

 ――ありがとうございました。


(ST☆GE マガジン vol.2(20XX年3月号) 特集:新作舞台「きみの物語になりたい」出演者インタビューより)

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