SUMMER FALL #2
西村から聞いた住所を頼りに、甲山と草加は徒歩で田辺美和の自宅へ向かった。だが、
「うわ〜、面倒臭い奴だよ」
草加のボヤきをスルーした甲山は、西村に電話をかけて遺留品の中にカードキーらしき物が無いかを確かめさせた。程なく、それらしき物は見当たらないとの返答を受けると、電話を切って草加に言った。
「管理会社に連絡して開けて貰おう」
「了解」
たっぷり二十分近く待たされて、ふたりは
「クラブのホステスって、こんなトコ住めるんスかね?」
「金回りの良いコレが居たんだろ」
甲山は担当者から見えない様に控えめに親指を立てて答えた。
担当者がマスターキーを使って開けたドアをくぐって、ふたりが中に入った。先に入室した草加が、「ここにひとりで住んでたのかよ?」と独りごちながら片っ端からドアを開けていた。最初に開けたドアの奥から漂う強烈な
「うわ、臭いキツ」
顔をしかめてドアを閉める草加を横目に、甲山は
バスルームを覗き込む草加を尻目に廊下を進んだ甲山は、突き当りのドアを開けてリビングダイニングルームに足を踏み入れた。途端に、甲山の表情が引き締まる。
四十インチの液晶テレビを載せたテレビ台や、その側に
「コーさん!」
「どうした!?」
取って返した甲山は、開け放たれたドアの中へ駆け込んだ。
その部屋は被害者が寝室として使っていたらしく、ほぼ中央をセミダブルのベッドが
「やっぱ、カードキーを持ち去ってたらしいッスね」
甲山は無言で
『はい、刑事課分室』
電話に出た
「甲山です。マル害のヤサですが、何者かが宝探しした様ですな。鑑識と、現場
《続く》
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