5.6 奈美ちゃんのお尻が割れてて良かった
ああ。
完全に意識を持っていかれたところに耳元でささやかれる。
「ねえ、なんかお尻にあたってるよ。なんだろうね、これ」
いや、もうこれしょうがないでしょ。
「なんか堅いよ。びくびくしてる」
そうやって日向さんの口から説明されると余計おさまりがつかないんですが。
「ほら、いろんなとこがぼこぼこ動いてる」
前で大騒ぎしていたはずの小月さんの声が耳に入ってこない。小月さんごめん、小月さん大好きだし他の子に気が行くことはないんだけど、こう、物理的な接触に関する生理現象についてはどうしようもないっていうか。
あれ、ぼこぼこ? 『千穂ちゃん』にそんなギミックはない。
……ってこれ朝と一緒だ。『千穂ちゃん』じゃなくなってる!
慌てて日向さんをどける。
「痛っ、どうしたの池辻くん!?」
多分、小月さんがつぶれてる!
大急ぎで立ち上がろうとしたところで日向さんの足とからまり、お尻をついた日向さんの上によつんばいになってしまう。
「え? 池辻くん? あれ、もしかしてやりすぎた?」
大急ぎでズボンのチャックを開ける。
「ちょっとまった、池辻くん、すとっぷすとっぷ! てっきり池辻くんが興奮すれば千穂が小さくなるんだ、って思っただけなの! 襲わないで!」
あせっていてトランクスのボタンがすぐに外れない。引きちぎる勢いで強引に外す。
「分かった、私が悪かった! ステイ! ステイ!」
日向さんが何か言いながら自分の目を手で隠して後ずさろうとするが、スカートが俺の膝に押さえられているので下がれずにそのまま後ろに倒れる。でもごめん、今はそれどころじゃない。構ってられない。
「小月さん! 生きてる!?」
「ぷは。なんとかー」
「千穂!? なんでそんなとこから出てきてるの!?」
あれ、日向さんこっち見ないようにしてたんじゃないの。まあいいや。
「もう、奈美ちゃん重いよ。でも奈美ちゃんのお尻が割れてて良かった。死ぬかと思った」
ほんとに苦しかったのだろう。ちょっと言動がおかしい小月さん。
「……どういうこと?」
さきほどの艶めかしい笑顔が完全にふっとんで真顔になっている日向さん。まるで暴漢にでも襲われたかのように顔色が悪い。
「池辻くん、奈美ちゃんならいいよ。隠すにしても今更だしね。説明しとこう」
「そうだね」
日向さんは俺が興奮するとそのまま小月さんがミニサイズになる、みたいな感覚でいたんだろう。それだけでも十分おかしいけど、実際に見ちゃってるから疑問には思わなかった。
ただ『千穂ちゃん』が小月さんになる、ってとこまでは予想してなかったんだろう。そりゃそうか。自分でも言ってて意味わかんないし。
「どこから説明していいか分からないんだけどさ」
「うん。大丈夫だよ、池辻くん。今なら大概のことでは驚かない」
「まず俺がオナ禁してる間に小月さんが24時間耐久のおまじないをしてさ」
「……前言撤回。いきなり何言い出すの?」
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