5.2 シャツのボタンを2つ外して手で下にひっぱってくれた
ぼーっと見てたら小月さんが小さく声をあげる。
(あ)
(なに?)
(消しゴム落とした)
(拾おうか?)
(分かる?)
自分の席の近く、床を見まわすがそれらしきものは見えない。それはそうだ。ミニサイズの小月さんが使っている消しゴムだ。とにかくちっこい。
そうは言っても全く見えないってほどじゃない。床にはいつくばって探せば見つかるとは思うんだけど、今はそんな探し方できない。
(ごめん、見つからない)
(だいじょぶ、いいよ)
シャーペンのキャップを外しておまけでついている小さな消しゴムで一生懸命消す小月さん。これ、少し修正するときはまだなんとかなるけど消す範囲が大きくなるときついんだよな。
(あ、とれちゃった)
ごしごし消していたせいか、シャーペンの消しゴムもなくしてしまったらしい。一応床を探してみるが、そもそも普通の消しゴムも見つからなかった。さらにシビアな小ささとなると見つかるとは思えない。
(小月さんごめん、見つからない)
(そうだよね、池辻くん、消しゴムかしてー)
(いいよ)
ごと。
小月さんの机に置いてみる。
でか! スケールがおかしい。
(ありがと)
(ごめん、それじゃ大きすぎるよね)
(とりあえずやってみる)
よいしょよいしょ、と消す小月さんを見守る。ああ、紙がずれる。……お、うまい。小月さんやるな。くるん、と回すようにして紙がずれるのを回避。両手で巨大な消しゴムを動かしてどうにか消せたようだ。
ふんす、という擬音が聞こえた気がする。
一仕事終わったよ、みたいな雰囲気で得意気な顔をして額の汗を腕でぬぐう小月さん。
……なにこれかわいい。
ほんとなんだこれ。
(小月さんが可愛すぎる)
思わずため息とともにつぶやく。
(え。そ、そう?)
小月さんが所在なさげにあっちこっちみたあと、消しゴムで顔を隠してしまった。その仕草がさらに可愛い。
(そ、そろそろ戻してもらっていいかな。小テストの時間終わっちゃうし)
(うん。そうなんだけど、どうやって戻ろう。)
(朝と同じでいいんじゃない?)
(朝?)
どういうことだ。小月さんの痛々しい姿に萎えたことかな。でも小月さんに嫌な思いをさせるのは却下だ。
(……しょうがない。違うからね? 戻るために仕方なくだからね? 教室で自分からなんて絶対無理だし)
そう言って小月さんはシャツのボタンを2つ外して手で下にひっぱってくれた。ただ下着が見えるだけでもエロいんだけど、自分で見せてくれているのが果てしなくエロいし嬉しい。
(ど、どう?)
いや、もうどうしていいか分からないぐらい可愛くてエロいけど。
めっちゃ素敵だけど。
見えてる見えてないとかよりその真っ赤な顔が永久保存版なんだけど。
(あれ。萎えない?)
逆だよ小月さん。それは小月さんを元の大きさに戻す方法じゃなくて小月さんを勃たせる方法だよ。さっき萎えたのは小月さんが痛々しかったからで、下着が見えてたからじゃないんだ。
(逆効果かもしれない)
全然「かも」どころじゃないんだけど。
恥ずかしいのでこういう言い方になってしまった。
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