2.3 小月さんの準備が整ったようだ。
訳が分からない。
謝るのは俺のほうだ。
「え?」
「あのね。私もこんなことになると思ってなかったんだけど」
「うん」
「おまじないみたいなのがあって」
「なんの?」
「いいから。それでこう、うさんくさいとはもちろん思ったんだけど、だめだったからどうってもんでもないし、つい、こう、ね?」
「うん」
「やってみたんだよね。多分そのせいなんだ」
「おまじないってなんのために?」
「……内緒」
「なにをしたの?」
「それも内緒。とにかく、私のせいで池辻くんに迷惑かけたってことだけは謝っておきたいの」
全く要領を得ないが分かったことがひとつ。
朝、小月さんが勃ってたことについてなにがしかの責任を小月さんが感じているということだ。
俺のせいなのに。
俺は全然迷惑だなんて思ってないのに。
ここまで来れば腹をくくるしかない。
「おまじないがなんなのかは分からない。でもそんなのたいしたことじゃないよ」
小月さんにどう思われようと構わない。正直に全て告げよう。
「た、たいしたことだよっ!? もし人に知られたら即刻腹かっさばく所存だよ!?」
そこまで隠したいおまじないとやらの内容が気になるがそれを聞くのは後だ。
小月さんのことだ、たぶん可愛い話だろう。小月さんとのえっちな夢が見たくてオナ禁してた、不純な俺とは比較にならない。
「うん? まあ聞いて。朝小月さんが俺の股間に勃つことになってしまったのは、100%俺のせいだ。小月さんは全く悪くない」
「うーん……」
「俺、小月さんのこと好きなんだ」
「え」
「いきなり言われても困るよね。ただこれはまず知っておいてもらわないと話が進まない」
「まって」
やはりだめだったか。
「もう一回言って」
「え?」
「さっきの。私のことが、ってやつ」
「小月さんのことが好き、ってこと?」
「そう! それ! やっぱり聞き間違えじゃないんだね」
「ああ。それでさ、」
「待って。ちょっとストップ」
スマホを取り出してなにやらいじり始める小月さん。
「池辻くん、録音ってどうやるの?」
「どうだろ。なんかもとから入ってるのかもしれないけど、それっぽいアプリ入れたらいいんじゃない?」
「そっか。もう少しまってね」
なにやらRecordがどうとかいうアプリを入れる小月さん。こういう操作って結構時間かかるんだよな。おとなしく待つ俺。
上気した顔で一生懸命スマホを操作する小月さん可愛い。
「よし、できた」
あれ、よく考えると今とんでもないことになっているんじゃないかな。俺の懺悔を録音して証拠として残そうってことか。いや、大丈夫。小月さんはそんなことしない。……仮にされたとしても潔くその罰を受け入れよう。
「おまたせ! いいよー」
小月さんの準備が整ったようだ。
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